実は、14年前の2009年に私が岐阜県の観光交流推進局長になって以降、国内外での知事のトップセールスは、日本の47都道府県のどこよりも戦略的かつ持続的に行なってきたという自負がある。
もちろん予算規模などで言えば、もっと大がかりな事業やプロモーションを行なった自治体もあったとは思うが、その多くは一過性であり、私たちのように相手国に継続して行ってきた県は多くはない。
また、事前に何度も相手国に足を運び、現地調査を綿密に行い、その情報を基にトップセールスで行う内容を計画し、実行する。さらにセールス終了後にも現地にブランディングや販売、そして観光インバウンドにつながる影響力を継続しつづけられる仕組みを残す。そのための予算をしっかりつけているのも、たぶん岐阜県ぐらいだと思う。
関係者すべての人たちが語った言葉
そのプロモーションの手法などについては、過去にもこのコラムで紹介してきたが、私たちは、現地のイベント会社や、政府の出先機関などに相談や調査はするものの、事業を丸投げなどは決してしない。もちろん自分たちでできないことは、現地の事業者の人たちに依頼はするが、必ず自分たちで汗をかき、時には民間の人たちとも協力して、さまざまな国々でその国に適したプロモーションを計画し、実行してきた。
その結果として、プロモーションを行った国からの岐阜県への宿泊滞在者数が飛躍的に伸び、飛騨牛や、地元の柿や鮎、そして岐阜の地酒などの輸出拡大につながった。
しかし、私が思ういちばんの収穫は、現地の人たちとの出会いだ。まさに現地で、岐阜県を本気で好きだと思ってくれ、私たちを応援してくれる人たちとの縁が、どこよりもしっかりつながったことだと思っている。
今回、「海外戦略の第2ラウンドのリスタート」をテーマとして各地を訪れたが、台湾では飛騨牛フェアや観光キャンペーン、シンガポールでは観光事業者との面談とともにショップ内での岐阜県プロダクトのフェアの開催、マレーシアで大手旅行会社訪問と飛騨牛や岐阜鮎のメニューフェアやキャンペーンなど、それぞれの国の実情に合わせたイベントや面談、事業などを行なってきた。
実は、そのなかで出会った、観光や食やものづくりの関係者などすべての人たちが共通して語った言葉があった。
その言葉とは、「サステナビリティ(持続可能性)」だ。