世界約130の国と地域から出展者が集まる「食」の見本市だが、日本からは、農林水産省とジェトロ(日本貿易振興機構)が主催して会場内にジャパンパビリオンを設置。全国47都道府県の知事で組織する全国知事会も、同パビリオンに出展することになった。
筆者は岐阜県の観光国際戦略アドバイザーを務めているが、同県の古田肇知事が全国知事会のプロジェクトチームリーダーをつとめていたこともあって、見本市に正式出品した岐阜県のスタッフとともに、日本産食品の海外販路拡大や訪日外国人観光客誘致に向けた海外プロモーションを行なってきた。
過去には、ニューヨークやパリ、フランクフルトなどで開催されている「ものづくり」の国際見本市には、筆者も多数参加してきたが、「食」については初めての経験で、日本の食品や日本食がどのように欧州では受け入れられているのか、「SIAL Paris」の会場で直に感じたことについてレポートしてみたい。
日本の「早ゆでスパゲティ」に大行列
「SIAL Paris 2024」のジャパンパビリオンには、そのほか宮城、秋田、福島、富山、福井、三重、兵庫、鳥取、徳島、佐賀などの14県が出展し、それぞれの地域を代表する自慢の特産品を紹介していたのだが、それら自治体を含め81社の日本の民間企業や団体も参加した。各県の出品品目としては、全国知事会とジェトロによって、それぞれの県の出品品目にできる限り各県の特徴を出すよう調整や采配がされていた。
例えば、宮城県は海藻を軸としたチップスやペースト、秋田県はいぶりがっこ、富山県は米、徳島県はゆず果汁、三重県や佐賀県、福井県は日本酒と和菓子、岐阜県は飛騨牛と栗きんとんなど、主に日本の自然や文化と結びついた食材や、日本の地域性(テロワール)の違いや多様性をアピールできる日本酒や発酵食品などが集められた。