専門誌『Journal of Personality and Social Psychology(ジャーナル・オブ・パーソナリティ・アンド・ソーシャル・サイコロジー)』に2025年に掲載された事前登録の研究では、4つの縦断研究における参加者1万人以上のデータを分析した。その結果、明確なパターンが浮かび上がった。恋愛関係の満足度は関係の終わりに突然低下するのではなく、「絶望的な衰退」の段階を経る。この衰退は、実際に別れる数年前から始まる。関係はゆっくりと下り坂になり、その後、破局の数カ月前に一層冷え込む。
この研究では、恋愛関係の満足度は人生に対する一般的な満足度よりも急激に低下することも明らかになった。このパターンは、別れを切り出さなかった人で顕著だった。
研究はカップルが別れに至るまでの過程を明確に示唆しているが、ほとんどの人は手遅れになるまで関係が終わりに近づいているというサインに気づかない。「考え過ぎだ」「たぶん疲れているだけ」などと言う。
現在の恋愛関係に留まることを選んでいるのか、それとも惰性で関係を続けているだけなのか、と疑問に思っているのであれば、すでに別れの前段階にいるかもしれないことを示す以下の3つのサインを参考にしてほしい。
1. 相手のいない生活を想像してホッとする
破局の前には、自由を夢見ることが多い。これは相手を傷つけたいからではなく、自分らしさを取り戻したいからだ。
もはや相手と一緒の未来を想像することはなく、自分らしく生きる人生を空想していることに気づく。関係に悩むことなく、あるいは止みそうにない感情面での緊張にさらされることなく目覚めるというのは、どんな気分だろうと思う。
しばらくして疲れが蓄積してくると、自分の身体がどう感じているのかに鈍感になる。闘い続けるエネルギーがなくなるため、闘うのをやめる。会話を始めることも、壊れたものを修復しようとすることも、崩れそうな絆を修復することもない。
専門誌『Behavioral Sciences(ビヘイビオラル・サイエンシーズ)』に2024年に発表された研究では、401組の夫婦の回答を分析した。その結果、セルフ・コンパッション(自分への思いやり)や関係が上手くいくと信じる気持ち、幸福感が弱いほど、カップルの燃え尽き症候群(バーンアウト)の程度がかなり強いことがわかった。
急速な幸福感の減少は、収入や結婚年数、あるいは子どもの数よりもバーンアウトにつながることを示す要素だった。
バーンアウトが常に葛藤として現れるとは限らないため、急速な幸福感の減少は重要な指標だ。多くの場合、バーンアウトは心の余裕などの着実な減少から生じている。関係に満足できなくなると、十分なセルフ・コンパッションを感じられなくなる。その結果、関係がかなり負担に感じられるようになる。それは愛がなくなったからではなく、キャパシティゆえだ。