こうした否定的な状況が度重なれば、双方ともいらいらが募り、結婚生活は安心できるどころか、緊張感が伴う場になってしまう。このように感情が激しく揺れ動いていると、2人の心は少しずつ離れていく。
対照的に「誠実性のある」カップル、すなわち、落ち着いていて自制心があり、信頼しあい、目的意識の高い特性をもつカップルは、結婚への満足度が高い傾向がある。ストレスとうまく付き合い、冷静さを常に失わないため、安定感が生まれ、互いを支え合う関係が育まれるようだ。
「良心的な人は、自制心があり、道徳的信念をもち、カップルが抱える問題をうまく処理できるため、結婚生活に高い満足度を感じられると予想される。誠実性のある人は攻撃的な態度を見せないよう心掛けており、衝動を上手にコントロールできる」と研究者は記している。そして、結婚生活における日々のやりとりでは「マインドフルな反応(自分の感情などに意識的であること)」がいかに重要であるかを強調している。
2. 「感情的な反応」は親密さを徐々にむしばむ
感情的に反応しやすい人は自分の感情をコントロールできず、必要以上に敏感になったり、感情を激しく爆発させたりする。また、否定的な感情から立ち直るのに時間がかかることが多い。2022年に学術誌Frontiers in Psychologyに発表された研究結果では、感情的に反応しやすい人は「パートナーの応答性知覚(perceived partner responsiveness:PPR)」が低いことも明らかになった。これは、配偶者がパートナーからどのくらい理解され、尊重され、気にかけられていると感じているかを示す尺度だ。
研究チームによれば「感情反応傾向が強い人は、配偶者から非友好的ないし敵対的だとみなされやすい」。カップルの一方がとても感情的に反応しやすいタイプである場合、もう一方は傷つき、無視され、誤解されていると感じることが増え、結婚の質の低下につながる。