サイエンス

2024.07.14 17:00

「離婚の危機」を迎えがちな3つのタイミング

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離婚をめぐる気がかりな統計については、よく知られている。米国では、結婚のおよそ半数が離婚に至る。欧州では、その割合はさらに高い。

だが実際のところ、離婚が浮上する可能性が高いのは、結婚生活の長く曲がりくねった道のいったいどの時点なのだろうか? その答えは心理学で見つかる。ここでは、心理学の研究で明らかとなった、離婚の3つの「変曲点」を紹介しよう。

1)結婚から7年以内

研究によれば、関係が最も壊れやすいのは、結婚生活の最初の7年だという。すべての離婚のうち半数は、結婚から7年以内に起きている。

どうしてそうなるのかについては、多くの理由がある。ときには、単なる勘違いだったと気づくこともある。2人の相性が、期待していた通りのものではなかったのだ。

「ずっと一緒に生きていく」ことはできない、と気づくケースもある。家事の分担や個人的な空間や時間について、2人の期待がそれぞれ異なり、そのせいで絆にヒビが入ることもあるかもしれない。このケースは、結婚前に充分長く(少なくとも、問題が起きる可能性に気づくほど長く)同棲していなかったパートナーで、特によく見られる。

最初の数年で最も結婚生活が壊れやすいもう一つの理由は、早くに見切りをつければ、人生をやり直す時間が多くとれる、という点にある。まだ若いうちに、別の人と再婚したり、家庭をつくったりすることができるかもしれない。

早期に離婚に至る理由について、進化心理学者は興味深い見解を示している。この見解は、当然と言えば当然だが、進化心理学上、結婚の主要な機能とされていることに関係している。つまり、子孫をつくることだ。

進化心理学者のグレン・ワイスフェルドとキャロル・ワイスフェルドは、このテーマについて次のように述べている

「離婚する時期は、結婚生活の早期に偏っている。これは、子どもがいるにしても、その数が少ない時期だ。結婚してから4年ほどで離婚がピークになる理由は、直接的な観点から言えば、恋愛関係になってから2~3年が経つと、相手に対する熱中が減じることで説明できるかもしれない」

「こうした情熱の低下は、子どものいない結婚の解消を可能にする適応とも考えられる。もしくは、子どものいるカップルの場合は、相手に注いでいた感情を減らし、そのぶんを無力な赤ん坊に向けることを可能にしているのかもしれない。後者の場合、赤ん坊が両親を引きつけることによって、結婚生活が部分的に支えられる」

2)子どもの手ばなれ

研究によれば、結婚が解消に至りやすいもう一つのポイントは、最初の子が14歳くらいになった時期だという。これは、結婚生活の満足度が最も低くなる時期として知られ、ときに離婚という決断につながることがある。

これにはさまざまな理由があるが、多くの場合は、親が以前よりもずっと大きな自由を感じられるようになる状況が絡んでいる。例えば、子どもが10代になると、以前よりも家の外で過ごす時間が長くなり、手がかからなくなる。そのおかげで、手のかかる時期に慣れていた親のスケジュールに、長年得られなかった「自由な時間」が生まれることになる。場合によっては、それがニーズや優先事項の見直しのきっかけになり、結婚の重要性が低下するのかもしれない。

進化的な観点で見ると、「子どもの手ばなれ」離婚も、ある程度までは理にかなっている。というのも、結婚の進化上の主な目的である「子をつくること」が、すでに達成されているからだ。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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