未来のわが子と強固な絆を築けないかもしれないという不安も、親になりたい気持ちを心配の源に変えることがある。インポスター症候群とはつまるところ、自分自身を見誤り、自分をあまり信じられなくなってしまっている状態だ。そうした「自分への疑い」を克服するためには、その感情を認識して、しっかり向きあうことが重要になる。
2. 自分の「重荷」を子に背負わせたくない
子育てに関する考え方の形成には、自分の親との関係が深く影響する。「世代間連鎖」という概念は、行動、態度、信念、さらにはトラウマのパターンが、世代から世代へと受け継がれていくことを示唆している。たとえば、親のストレスへの対処方法や愛情の示し方を、子がのちの人生で模倣し、行動のサイクルが世代をまたいで続いていく可能性がある。このサイクルは、親が過去に解決できなかった問題が意図せずして子育てのスタイルに影響を及ぼし、自分の子どもに対して同じことを繰り返してしまうのではないかとの不安を生む。これは、単に自分の親の行動をなぞってしまうことへの不安ではなく、幼少期の体験に起因する根深い不安にも関係している。
2022年の研究では、親が子どもの頃に体験したつらい記憶が身体的・精神的な健康に長期的に影響し、それがその後の世代とそのウェルビーイング(心身の健康と幸福)にも波及することが示唆されている。とはいえ、このサイクルは必ずしも繰り返されるわけではない。
世代間連鎖を断つためには、癒しと自己認識に力を注ぐ必要がある。自らの過去と向きあうことで、カップルは将来の子どものための健全な環境づくりに取り組める。それが、親になるという考えにともなう重荷を軽くし、希望を大きくしてくれるはずだ。