子どもを幸せにする方法──という本題に入る前に、まずはあなた自身の人生を楽しくしてくれたものが何だったか、今一度考えてみてほしい。その人生の楽しさを、どうやったら子どもにも体験させてあげられるだろう？
ポイントが伝わりやすいよう、昔、父から聞いた話から始めてみよう。
それはニューヨークで開かれた、経営幹部向けカンファレンスでの話だ。基調講演を行ったのは、老齢のイタリア人教授。彼はとても小柄で、大きなスピーチテーブルの後ろで、皆から見えるよう背伸びをしなければならないほどだった。
教授は講演の冒頭で、スピーチテーブルの上に大きなガラス瓶を置いた。そして聴衆に瓶の中がいっぱいか尋ねた。客席からの答えは「ノー」。次に教授はテーブルの下に手を伸ばし、野球ボールがたくさん入ったバスケットを取り出して、瓶の上で逆さまにした。すると3、4個がガラス瓶に入り、残りは床に転がった。
教授が客席に向かって瓶がいっぱいになったかと尋ねると、「イエス！」という大きな声があがった。その後、教授は再び無言でテーブルの下に手を伸ばし、マーブルチョコレートが入った箱を取り出して、瓶の中に入りきらなくなるまで入れた。そしてまた客席に、瓶がいっぱいになったか尋ねた。今度はみんな、答えるのをためらい、まばらに「イエス」と答える人もいれば、「まだ入る」と答える人もいた。
「大切なもの」からガラス瓶に入れる
さらに教授は砂の入ったバケツを取り出して、中身を瓶に入れた。続けて水の入った容器を取り出し、それも瓶の中に注いだ。瓶の中は完全にいっぱいになった。そこで教授は尋ねた。「さて、この瓶は何を表していると思いますか」
