サイエンス

2024.08.24 17:00

親になるのをためらう3つの理由と、それについての心理学的考察

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3. 自分を失うことへの不安

親になることによって、自分自身の自由や、個人としてのアイデンティティーが失われてしまうのではないか、という不安が生じる場合がある。現代のカップルの多くは、子育てを始めたら自分たちの野心や自由を犠牲にせざるを得ないのではないかと心配している。今のライフスタイルを手に入れるために懸命に努力し、それを手放したくないと思っている人ほど、この心配の度合いは顕著だ。
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心配するのはもっともな反応だが、心理学研究では、状況がもう少し複雑であることが示唆されている。学術誌Psychological Scienceに発表された研究結果では、親になると、実際にはその人のウェルビーイングが高まることが示されているのだ。

研究チームによれば、子どもを持つ親は、子どものいない人と比べて自分の生活に対する評価が高く、日々の暮らしの中で意義深く前向きな感情を経験することが増えるという。

興味深いことに、この研究では先進国の人、30歳を過ぎてから親になった人、収入の高い人ほど、親になると幸福感が高まりやすいことが示唆されている。
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結局のところ、親になることで大きな変化が生じるのは確かだが、それは必ずしも自分のアイデンティティーを失うことを意味するわけではない。親になることが自分にとって正しい道だと感じるのなら、それを知っておくことが重要だ。親になることで、実際には成長や進歩のチャンスが生まれ、自分の情熱や野心を、親としての生活のなかに組みこむ新しい道が見つかるかもしれない。

この点は覚えておいてほしいのだが、ここに挙げたような不安を抱いているからといって、それで親になる資格がなくなるわけではない。むしろそうした不安は、思慮深さや、これから生まれてくるかもしれない子どもに対する気づかいを反映している。

こうした不安に真正面から向きあうことで、カップルは、この先の道のりを歩む準備をより良く整えることができる。自分たちの将来について深く理解したうえで、自信をもった決断を共に下せるようになるはずだ。

forbes.com 原文

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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