2000人かそこらの規模の第488連隊の一部は、CDSによると近傍の友軍部隊がスジャから外へ出るルートを少なくとも1つ確保したため、14日にこの町から撤収できた。しかし一部は取り残され、ウクライナ軍の侵攻部隊の前衛である特殊部隊に捕らえられる結果になった。
第488連隊は徴集兵に大きく依存していたことが災いしてスジャで敗北した。ウクライナのクルスク侵攻が2週目に入るなか、ロシア軍は今後も似たような失態を重ねるかもしれない。
というのも、ウクライナの進軍を遅らせようと必死になっているロシアは、さらに多くの徴集兵をクルスク州に送り込もうとしているらしいからだ。CDSは「ロシア軍司令部はモスクワ、レニングラード、カリーニングラード、スベルドロフスク、ムルマンスク、サマラ各州でこの春に徴収した兵士をクルスク州の部隊の増援に送っている」と説明している。
一般のロシア人は徴集された息子が実際の戦闘に参加するとは夢にも思っておらず、不満をいだいているもようだ。CDSは「徴集兵を実際の戦闘行動で用いることに抗議する人権活動家や親族から反発の声が上がっている」と報告している。
ロシアが徴集兵に関する方針に反し、政治危機につながりかねないリスクを冒している理由はよくわからない。ロシア軍の指揮官は、職業軍人中心の部隊はウクライナ東部での攻勢のために温存するつもりなのかもしれない。
あるいは、ロシア軍はたんに職業軍人部隊が足りず、そうした良質な部隊をクルスク州の戦線に送ればウクライナの戦線に穴ができかねないのかもしれない。職業軍人部隊を転用すればウクライナによる侵攻を抑え込むのに役立つ可能性がある半面、ほかの戦線でウクライナ側による別の突破を招く危険がある。
米国の情報筋はCNNに「(ロシア軍部隊の)大規模な動きはまだみられない」と述べ、ロシア軍が部隊を移動させ始めたばかりだからなのか、それともたんに、移動させられる部隊がないからなのかは現時点では判断がつかないとしている。
(forbes.com 原文)