欧州

2024.08.17 09:00

ロシア国境の町スジャが陥落、過去最多の100人超投降 徴集兵の捕虜に国民動揺

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ウクライナがロシア西部クルスク州に侵攻して9日目、ウクライナ軍の5個機械化旅団、3個空中強襲旅団、数個独立大隊の一部または全部などからなる侵攻部隊は、国境近くの町スジャを完全に占領した。今月6日の侵攻開始後、ウクライナ側がクルスク州の比較的大きな町を完全な支配下に置いたのは初めてだ。

ウクライナ側は侵攻前時点で5100人ほどが住んでいたとされるスジャを獲得しただけでなく、町を守備していたロシア軍人多数も捕虜にした。

スジャが14日に陥落した際、ウクライナ保安庁(SBU)の特殊部隊がロシア軍人102人を捕らえた。エストニア人アナリストのWarTranslated(@wartranslated)によれば、ロシアが2022年2月にウクライナに全面侵攻して以来、ウクライナ側が一度に捕虜にしたロシア軍人の数としては最多だという。

ロシア軍の第488親衛自動車化狙撃連隊に所属する軍人たちがウクライナの捕虜になった経緯は、クルスク州での戦闘の主なダイナミクスを示すものになっている。

ウクライナ軍部隊が6日にクルスク州への越境攻撃を始めたとき、最初に遭遇したのはロシア軍の最も優秀な職業軍人部隊ではなかった。それは、軽装備で、しっかりとした指揮を受けていない徴集兵部隊だった。

ロシアは18〜30歳の男性に1年間の兵役を義務づけているが、これらの徴集兵は後方での支援任務に当たらせるというのが公式の方針だった。つまり、徴集兵は前線での戦闘には従事しないはずだった。

クルスク州でそれが変わった。ウクライナ軍部隊が一気呵成に進撃し、けっして前線で戦うはずでなかった彼らのもとを急襲したためだ。狼狽し、恐怖に駆られた徴集兵たちが、戦闘慣れしたウクライナ軍部隊に大挙して投降した事例が複数報告されている。なかには、ライフル銃を数発撃った程度という粗雑な訓練しか受けていない兵士もいたという。

14日に捕虜になったロシア軍人102人のなかにも徴集兵がいたと報じられている。

ウクライナ軍の侵攻部隊が迫りくるなかで第488連隊は苦境に陥った。ウクライナ陸軍第88独立機械化旅団の火力に圧倒された第488連隊の一部は、14日かその少し前に撤退を試みた。だが、ウクライナのシンクタンクの防衛戦略センター(CDS)によると、逃げようとした兵士はチェチェンの「督戦部隊」に追い返された

意欲の低い部隊を督戦部隊が拘束や射殺をちらつかせて強制的に戦わせるのは、ソ連軍やロシア軍の伝統である。よく訓練された職業軍人と比べ、あまり訓練を受けていない徴集兵は攻撃に遭うと逃げ出しやすい。その意味で、ロシア軍で徴集兵と督戦部隊は密接な関係にある。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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