欧州

2024.08.09 15:00

ウクライナ軍、越境攻撃に精鋭の空挺旅団も投入 「本格侵攻」の様相強まる

ストライカー装甲車の3Dイラスト(Mike Mareen / Shutterstock.com)

ウクライナ軍がロシア西部クルスク州に仕掛けた奇襲攻撃の3日目、州内を走行する装甲車両の車列から、ウクライナ軍の旅団で最も装備が充実し、最も機動力が高い旅団のひとつである第80独立空中強襲旅団が、この越境攻撃作戦に参加していることが確認された。

8日にソーシャルメディアで共有された動画には、T-64BVもしくはT-80BV戦車、UR-77地雷除去車、IMR-2戦闘工兵車、BTR-80装甲兵員輸送車、そして米国製ストライカー装甲車が移動する様子が映っていた。各車両はドローン(無人機)対策のケージ装甲を装備し、BTR-80の車上には歩兵が10人くらい乗っている。そばで、ウクライナの砲兵が迫撃砲で射撃を行う姿も見える。

82mm迫撃砲の射程は3〜4km程度だ。これまでの経緯や状況から、映像がロシア側の陣地に対する本格的な攻撃の初期の瞬間を捉えたものなのは明らかだ。

ウクライナ軍で旧ソ連から引き継いだ車両と米国から供与された車両を組み合わせて使用している旅団は、第80空中強襲旅団しかない。ロシア側のドローンから撮影された別の映像では、ドイツから供与されたマルダー歩兵戦闘車がクルスク州内を走行中、自爆ドローンで攻撃されるところが捉えられている。これも第80空中強襲旅団の参加を裏づける証拠だ。

第80空中強襲旅団は姉妹旅団の第82空中強襲旅団と同様に、ストライカーとマルダーを併用しているようだ。装輪車両のストライカーは軽く、装軌車両のマルダーは重い。迅速にして強力な攻撃を好むウクライナ空中強襲軍にうってつけの組み合わせだ。

ウクライナ北部スーミ州とロシアとの国境のすぐ北で実施されている今回の作戦に精強な第80空中強襲旅団が加わっていることは、作戦の規模を物語っている。

ロシアがウクライナに対する戦争を拡大してから2年5カ月半の間に、ウクライナ側で戦うロシア人らの義勇兵組織は、ロシア西部に対する襲撃(レイド)をたびたび行ってきた。ただ、これらの襲撃は小規模で範囲も限られ、せいぜい数日で終わっていた。目的は何より、ロシア指導部のメンツをつぶすことにあった。

6日に始まった今回の作戦は違っていた。陸軍の第22独立機械化旅団と第88独立機械化旅団、そして空中強襲軍(空挺軍)の第80空中強襲旅団というウクライナ正規軍の少なくとも3個旅団が実行しており、砲兵部隊、ドローンチーム、防空部隊がきわめて重要な支援任務にあたっている。各旅団は最大2000人規模だ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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