7月31日、VR(仮想現実)ヘッドセットを装着したウクライナ軍の操縦士が遠隔操作するFPVドローンの一機が、ロシア軍のヘリコプターを撃墜した。FPVドローンによるヘリの空中撃破は初めてとみられる。
墜落したMi-8輸送ヘリコプターの残骸が地上で炎上している様子とされる写真や動画がソーシャルメディアで共有された。場所はロシアの支配下にあるウクライナ東部ドネツク市近郊とされる。ロシアのある軍事ブロガーは「生存者たちの一刻も早い回復を」と書き込んでいる。
This morning, a Russian Mi-8 transport helicopter crashed near Donetsk City.
Russian sources report it was downed by a Ukrainian FPV drone.
Seen here, the wreckage burns in an open field. pic.twitter.com/IcFpizwbV1 — OSINTtechnical (@Osinttechnical) July 31, 2024
それから1年近くたって、ウクライナ軍のドローン操縦士はついにロシア軍のヘリを撃墜することに成功した。これまで失敗が続いていたのは無理からぬことである。ヘリコプターは時速240km以上で数百m以上の高度を飛行でき、機体重量900g程度のFPVドローンで狙うにはあまりに速く、あまりに高い。ドローンの操縦士によほどの技量や運がなければ命中させることは難しい。
Mi-8を撃墜したドローン操縦士は非常に熟練していたか、幸運に恵まれていたか、あるいはその両方だった。ウクライナ側は、重量約11t、乗員2〜3人で、輸送のほか攻撃や医療救護などの任務にも使用されるMi-8を、まだ地上近くを飛行している間に発見したもようだ。ロシアの別の軍事ブロガーは「離陸した瞬間に捕捉された」と書いている。
FPVドローンが搭載する爆発物は普通はせいぜい数百gだが、ヘリの回転翼に体当たりできれば大きな火力がなくても撃墜できる。