欧州

2024.08.08 17:00

ウクライナ軍の旅団がロシアに侵攻、15km進撃 非常に危険な賭けに

ウクライナ軍は2〜4個旅団がロシアに侵攻する前から、1000kmにおよぶ戦線で薄く引き伸ばされる形になっていた。いまはもっと薄く伸びているだろう。他方、ロシア軍がさらなる突破を図る危険性は、とりわけ東部で高まっている。

ウクライナ軍の指揮官は、大きな犠牲を出さずに越境攻撃ができると賭けているようだ。しかし、開けた場所での攻撃はほとんどの場合、防護された陣地で防御するよりも大きな損害を出す。

リーも「攻撃作戦は防御している場合よりも多くの人的損害を出す危険がある。折しもウクライナ軍は現在、薄く引き伸ばされている」と警鐘を鳴らす。「人的戦力の状況から、ウクライナは損耗率の優位を維持していく必要があるが、この作戦で大きな損害を被れば難しくなるかもしれない」とも危惧する。

ウクライナ側にとっての朗報は、クルスク州に進撃した部隊に今のところは勢いがあることだ。ウクライナ側はこれまでに、ロシア側のヘリコプター2機を撃墜し、複数の戦車を撃破したほか、数十人を捕虜にした。撃墜したヘリのうち1機はFPV(一人称視点)自爆ドローンによる戦果だった。カステヘルミは「ロシア側は混乱状態にあるようだ」とコメントしている。

とはいえ、ロシア側が場所を犠牲にしながら時間を稼ぎ、追加部隊を投入するにつれて状況は変わる可能性がある。リーは、この方面のロシア軍は以前よりも「兵力や通常能力を増強し、指揮統制を改善している。徴集兵部隊も投入できる」と注意を促している。

外部の観察者は、今はただ状況を見守ることしかできない。ウクライナは大胆不敵な攻撃によって戦局を一変させるかもしれないし、数少ない予備部隊を無謀な越境襲撃で浪費する結果になるかもしれない。

どうなるかはいずれわかる。ブラックバードのヘリンは「ウクライナがこの作戦の目標について明確な考えをもっていると願いたいし、その目標が政治的にも軍事的にも達成可能なものであることも望みたい」と書き、こう続けている。「現時点では、ウクライナは手札がかなり厳しい状態でリスクの高い賭けをしているように思える」

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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