サイエンス

2024.06.22 11:00

「傍観者効果」にご用心 悲劇的な事件の実例と今すぐとれる対策

傍観者効果の実例

ちょっとした不都合に見舞われた人を助けられなかったからといって世界が終わるわけではないが、傍観者効果が生死を分ける事態に発展するリスクは現実にある。以下の事件はいずれも、誰かが行動を起こしていれば被害者の命は助かったかもしれないケースだ。

・ジェームズ・バルガー事件 (1993年)

この痛ましい事件では、英国史上最年少の犯人が殺人罪で有罪判決を受けた。イングランド北西部マージーサイド州ブートルのショッピングセンターで、2歳の男児ジェームズ・バルガーが10歳の少年ロバート・トンプソンとジョン・ベナブルズによって誘拐された。ジェームズが連れ去られる姿は38人が目撃していたが、明らかに様子がおかしく、けがをしていたにもかかわらず、声を掛けたのは2人だけで、結局どちらも通報しなかった。最終的にトンプソンとベナブルズはジェームズに言語を絶する暴行を加えた末、遺体を線路上に遺棄した。

・広東省女児ひき逃げ事件(2011年)

中国広東省仏山市で2歳の女児、王悦が2台の車に立て続けにひき逃げされた。防犯カメラには、18人の通行人が重傷を負った女児を助けることなく素通りする様子が映っていた。結局、廃品回収業の女性が女児を道端に運んで救急車を呼んだが、女児は病院で死亡した。この事件には広範囲から怒りの声が上がり、道義的責任と公共の義務をめぐって中国に国民的議論が巻き起こった。

・女子高生コンクリート詰め殺人事件(1988年)

当時17歳の日本の女子高生が10代の少年グループに誘拐・監禁され、拷問としか言いようのない凄惨な暴行を受けた末に殺害された。被害者は40日間にわたって想像を絶する苦しみに耐えた。監禁場所は住宅街の一軒家で、被害者の悲鳴や騒ぐ声を聞いた人もいたが、近隣住民は警察に通報しなかった。この家には加害者の1人の両親が同居しており、息子と友人たちの凶悪な犯罪行為に気づいていたが、やはり通報することはなかった。
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翻訳・編集=荻原藤緒

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