働き方

2024.06.21 12:00

「働いているふり」をめぐる労使バトル、米銀の行員解雇から学べること

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米金融取引業規制機構(FINRA)に提出された書類によると、米大手銀ウェルズ・ファーゴは先月、「キーボード操作を偽装し、仕事をしているように見せかける」という職業倫理に反する行為を日常的に行っていたと内部調査で判明した十数人の行員を解雇した。

解雇された行員は資産・投資マネジメント部門の所属だったとと米ブルームバーグ通信は報じた。懲戒処分を受けた行員の人数や勤務形態は明らかにされていない。

同行の広報担当者は「ウェルズ・ファーゴは従業員に最高水準の規範を求めており、非倫理的な行為は許されない」とブルームバーグに語った。

米国第3位の銀行であるウェルズ・ファーゴの行員が調査対象となったのは今回が初めてではない。同行では2016年に、売上目標を達成するため顧客に無断で多くの普通預金口座や当座預金口座を開設していたことが発覚。ノルマを達成すべく、売上と収益を増やそうと積極的に商品を抱き合わせ販売するよう、幹部がヒラの行員に圧力をかけていたという。

この一件では、ウェルズ・ファーゴが米司法省と米証券取引委員会(SEC)に30億ドル(約4800億円)を支払うことに同意し、不正な販売慣行をめぐって長く続いていた民事・刑事捜査に決着をつけた。

キーボード操作の偽装発覚後の今月1日に施行されたFINRAの新規則では、売買取引の仲介者はリスク評価を実施して文書化し、四半期ごとに「監督下に置かれている住まい」のリストを規制当局に提出するよう定めている。また、試験導入されたFINRAの新プログラムでは、リモートワーカーがオフィスとして使用している自宅は3年ごとの登録と検査が義務付けられている。

マウス自動操作などの不正行為

雇用主が生産性の確保を目指す一方で、労働者は柔軟性を求めている。そうした中、ウェルズ・ファーゴの行員解雇は、リモートワークと従業員の監視をめぐり労使の間に緊張が続いていることをはっきり示している。

米世論調査会社ハリス・ポールが5月に行った調査で、ミレニアル世代の労働者の40%近くが、上司に隠れて仕事を怠けたことがある実態が明らかになった。この行為は「静かな休暇(Quiet Vacationing)」と呼ばれ、調査結果を受けてにわかに注目を集めている。
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翻訳=溝口慈子

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