働き方

2024.06.21 12:00

「働いているふり」をめぐる労使バトル、米銀の行員解雇から学べること

調査では従業員らが、仕事をしているふりを演出するため定期的にパソコンのマウスを動かしたり、残業してまで頑張っていると印象づけようと業務時間外にメッセージを予約送信したりしていることを認めた。

新型コロナのパンデミックでリモートワークが急増した際、パソコンを操作しているように見せかけるために、マウスのカーソルを動かす装置「マウスジグラー」を使う従業員が現れた。管理職の監視の目が直に届かない状況で、マウスのカーソルを一定間隔で自動的に動かし、テレワーク監視ソフトウェアに従業員が仕事をしていると誤認させる小道具だ。

マウスジグラーの普及により、リモートで働く従業員は真面目に働いていると見せかけながらデスクから離れられるようになった。

従業員が仕事をせずに雇用主をだます動きには、会社を辞めずに必要最低限の業務だけをこなす「静かな退職」や、できる限り何もしないで月曜日を乗り切る「最低限の月曜日(Bare Minimum Monday/BMM)」などがある。いずれもTikTokでトレンドになった仕事術である。

あの手この手で労働者を監視する企業

米紙ニューヨーク・タイムズが2022年に行った調査によると、雇用主はさまざまなテクノロジーを駆使し、デバイスを介して労働者の生産性を監視している。ホワイトカラー職種において監視はますます一般的になっており、「リモートワーク、オフィス勤務にかかわらず、多くの従業員はトラッカーやスコア、アイドルボタンなどで常に監視され、記録される対象になっている」という。

企業は生産性を測定するために、従業員のキーストロークやマウスの動き、アプリケーションの使用状況を監視するアクティビティ追跡ツールを積極的に導入している。また、会社のデバイスやネットワーク上で業務に関係のないウェブサイトへのアクセスを制限している。

加えて、コンプライアンスや生産性向上を目的に会社の電子メールの内容を監視したり、従業員の労働時間をチェックするためにログインとログアウトの時間を追跡したりもする。ウェブカメラを通じて従業員を監視する企業もあるが、これは規制や倫理的配慮から制限がかかる場合もあるだろう。

こうした監視ツールは、揶揄的に「タトルウェア(告げ口するソフトウェアの意)」あるいは「ボスウェア」と呼ばれている。
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翻訳=溝口慈子

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