スタンフォード大学とシカゴ大学の経済学者も参加している調査では、米国在住の労働者が5月中に1日6時間以上働いた日数のうち完全在宅勤務をした日の占める割合は26.6%で、前年同月の28.6%から減少した。今年は10人に1人が昨年より毎週1日多く出勤している計算になる。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが最も猛威をふるっていた時期には、完全在宅勤務日の割合は約60%に上っていた。
フルタイム従業員の働き方の内訳は、完全リモート勤務が13%、出勤と在宅を組み合わせたハイブリッド勤務が26%、完全オンサイト勤務が62%だった。
業種別で在宅勤務者の割合が最も高かったのは情報技術分野(69%)で、これに金融・保険業(66%)が続いている。この両業種は、リモート勤務日数も共に週2.2日で最多だった。いずれも高賃金で業務にコンピューターを多用し、オフィスが大都市圏にあって通勤時間が長くなりがちなことから、リモート勤務可の条件が求人の際に魅力となる業界であり、在宅勤務が多くなりやすいと調査チームは指摘している。
一方、小売業や接客業では在宅勤務率は低く、週0.6〜0.7日だった。これらの業種では消費者と直接関わったり特定の機器や設備を使用したりする業務が多く、従業員が現場にいる必要があるためだという。
分析対象となった米9大都市圏のうち、リモート勤務率が最も高かったのはロサンゼルス大都市圏(34.4%)だった。次いでヒューストン大都市圏とサンフランシスコ・ベイエリア(共に32%)、ワシントン・ボルティモア広域都市圏(30.7%)、ニューヨーク都市圏(30.7%)となっている。
年齢別でみると、50代と60代の労働者で出勤頻度が高く、50~64歳では完全オンサイト勤務が68%に上った。40代では62%、30代は59%、20代は57%だった。
また、2020年に設立された企業はリモートワーク率が36%と最も高く、デジタルファーストを掲げる傾向があることも明らかになった。これと比較して、2019年以前と2021年以降に設立された企業では在宅勤務率が低かった。