働き方

2024.06.21 12:00

「働いているふり」をめぐる労使バトル、米銀の行員解雇から学べること

英金融大手バークレイズは以前、密かに従業員を監視した疑いで、英データ保護規制当局の情報コミッショナー事務局(ICO)による調査を受けたことがある。バークレイズは2017年に従業員がデスクにいる時間を追跡するOccupEye(オキュップアイ)というシステムを導入し、批判された。

ICOの広報担当者は当時、従業員には「職場で一定のプライバシーを守る権利がある」と述べた。「もし組織が従業員を監視したいのであれば、その目的と、そうすることが真に利益をもたらすことを明確に示さなければならない。また、監視の性質や範囲、理由を従業員に知らせる必要がある」とも指摘した。

「働いているふり」を阻止するには

従業員の生産性を確保するために上司が侵襲的な監視手段を用いることで、知らず知らずのうちに従業員を静かな休暇やマウスジグラーの使用といった不誠実な行為に駆り立てている可能性がある。

仕事をしているふりを減らすために、雇用主は職場における不誠実な行為への会社の対処方針と、これらの行為がもたらす結果を明確に伝えるべきだ。

非現実的な生産性への期待や、柔軟性を排除するような高圧的な命令、ワークライフバランスを阻む社風など、なぜ従業員がマウスジグラーを使ったり嘘をついたりする必要を感じるに至ったのかを管理職が理解することが不可欠だ。根本的な理由を特定し、その原因に対処すれば、より前向きで透明性の高い職場環境を作れる。

生産性を追跡する方法に関する懸念やフィードバックを従業員が安心して共有できるよう、リーダーは従業員と管理職がオープンに意思疎通を図れるよう支援しなければならない。また、監視する必要性と従業員のプライバシーや福利厚生の間をとった、双方にとって有益な解決策を共に模索すべきだろう。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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