ブロンクが述べているように、考えられる解決策のひとつは、最適な条件で射程が200kmに達する欧州製のミーティアなど、より長射程の空対空ミサイルを使うことだ。だが、F-16はミーティアに対応していない。さらに言えば、フランスからウクライナに供与されるミラージュ2000-5戦闘機もこのミサイルには対応していない。
ウクライナが入手できる可能性のある戦闘機でミーティアを搭載可能なのは、スウェーデン製のJAS39グリペンだけだ。スウェーデンは余剰のグリペンをウクライナに供与する意向を示しているが、ウクライナが最初分のF-16を受け取るまで、実際の供与は控えることに同意している。
支援国側は、あまりに多くの種類の新機材をあまりに早く提供すると、ウクライナ空軍の負担が重くなりすぎると懸念しているもようだ。
ブロンクの見立てが正しければ、ウクライナ軍のパイロットを極端な危険にさらさずロシア軍の滑空爆弾搭載機を撃墜できるような、戦闘機とミサイルの組み合わせをウクライナが手にするまでには、1年以上かかるということになるかもしれない。
ウクライナがこのところ、ロシア軍の爆撃機やKABを地上でたたくことに注力しているのも、それと関係しているとも考えられる。
ウクライナは今月、前線からおよそ240km離れたロシア南西部のモロゾフスク飛行場を大量の長距離攻撃ドローン(無人機)で攻撃した。この飛行場はSu-34数十機の基地となっていて、数機が損傷したり撃破されたりした可能性がある。ウクライナはこのほかにもロシアの航空基地に対してドローンやミサイルを用いた攻撃を繰り返しており、駐機中のロシア軍機に大きな損害を与えている。
今後、F-16が順次ウクライナに届き始めても、ドローンによるこうした襲撃は続くだろう。ブロンクは「当面、ウクライナが前線部隊へのロシア空軍による損害を抑える最良の方法は、ロシアの航空基地を攻撃することだ」との見解を示している。
(forbes.com 原文)