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2024.06.23 11:00

日本の隠れた「価値」を発掘しよう 地域発!未来をつくるストーリー5選

岸本周平 和歌山県知事(右)とコシノジュンコ 和歌山で進むブランド化の世界戦略をテーマに語り合った

日本経済をけん引する経営者や投資家から、挑戦者を支える公務員やインキュベーターまで、地域のキーマン50人をスモール・ジャイアンツ(以下SG)イノベーターに迎え、ウェブサイトで発信している。各地に芽吹き始めた「変革」を象徴する、5つの記事を紹介しよう。

この記事は、本誌「Forbes JAPAN 2024年6月号」に掲載されたものです。

「聖地リゾート」を世界へ コシノジュンコ×和歌山県知事対談

高野山や那智の滝などを有し、ディープな日本を体感できることから、じわじわとインバウンド人気を広げる和歌山県。2023年にブランディングや地域活性化を進めるため岸本周平知事のもと、経営者や文化人など有識者でつくる「和歌山未来創造プラットフォーム」を立ち上げ、デザイナーのコシノジュンコがアドバイザリーボードのメンバーに就任した。 和歌山の観光や産業面のブランド化の世界戦略をテーマに、岸本知事とコシノの特別対談をお届けした(24年3月12日掲載)。
 
聞き手はSGイノベーターで、同県を拠点とする電動モビリティメーカーのglafit代表、鳴海禎造が務めた。鳴海はコシノも参画する同プラットフォームのワーキングチームの地方創生リーダーでもある。
 
大阪・岸和田出身のコシノにとって和歌山は近くても「少し遠い存在」だった。だが、19年に和歌山県が発足した「高野山・熊野を愛する百人の会」に参加し足を運ぶ機会を得て、そのマニアックな魅力を体感した。那智の滝や熊野古道、高野山などを有することから岸本知事は23年から「聖地リゾート」と打ち出し、国内外に発信する。その知られざる価値を世界にどう広げるか。ファッション界で国際的な評価を得るコシノならではの感性に注目したい。

愛知発スタートアップ支援拠点「STATION Ai」秋開業へ

国内外から1000社の入居を目指す、国内最大のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」が24年10月に愛知県名古屋市で開業する。自動車や航空宇宙などものづくりの産業集積地であり、スタートアップの芽が出にくいとされていたが、近年は大きな変化が生まれている。開業前から運営される早期支援拠点「PRE-STATION Ai」では、すでにスタートアップと大企業などをつなぐコミュニティが形成され、新たなオープンイノベーションの一大拠点として期待される。

運営を手がけるソフトバンク子会社のSTATION Ai代表取締役社長 兼 CEOの佐橋宏隆にインタビューした(24年3月22日掲載)。新拠点のモデルとなるのは、フランスにあるヨーロッパ最大のインキュベーション施設「STATION F」だ。開業後は大企業や金融人材などの入居も迎え、脱オフィスワークが広まるなか「チャンスの多い」施設を目指す。

企業版ふるさと納税連載「稼ぐ」自治体のNo.1町長が登場


能登半島地震で被災地の復興に向けた活用が注目される、企業版ふるさと納税。まちや産業を盛り上げるため、企業と自治体はどうタッグを組み、地域の課題解決につなげているのか。スモール・ジャイアンツ サイトでは、実業家のクレイ勇輝(写真左)が訪ね歩く連載「『企業版ふるさと納税』聖地巡礼」を展開する。

茨城県境町は人口約2万4000人ながら、企業版ふるさと納税の受け入れランキングで関東では常に1位か2位を誇る。自ら「町のマーケター」として旗を振り、財政改革を手がけるのが橋本正裕町長だ(写真右)。14年の町長就任後に、財政破綻寸前の状況からの立て直し策として、この制度に目をつけた。23年4月に町内にオープンした人工サーフィン場「S-wave(エスウェーブ)」の整備でも、国の交付金と企業版ふるさと納税を活用した。ハコモノ行政とされる「税金で維持管理をする“負動産”をつくらないこと」がポイントだという。小さな町の快進撃を探った。
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文=督あかり

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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