当然のことながらロシア海軍の指揮官たちは残りの大型艦を失うことを懸念し、それらをロシア占領下クリミア半島の港から引き揚げさせ、表向きにはより安全とされるロシア南部の港に移した。
一方で、掃海艇や上陸用舟艇、哨戒艇といった小型艇はクリミアに残していた。数十艇あるとも考えられるこれらの小型艇は、クリミア周辺水域での日常的な任務で中心を担っている装備だ。そのためウクライナ側はこれらの艇も攻撃目標とし、占領下の水域からの排除をめざしてきた。
最新の襲撃は、黒海艦隊の小型艇隊にとって最も大きな被害になった可能性がある。ウクライナ国防省情報総局(HUR)の特殊部隊「グループ13」は5月30日未明、数百kgの爆薬を積んだ全長5.5mのマグラV5無人艇の群れをクリミア西部のブジカ湾に向かわせた。
ロシア側の航空機が迎撃を図ったが、少なくとも数艇がそれを切り抜け、湾内に到達した。ロシア側の射撃手はあわてて射撃を始め、曳光(えいこう)弾をやみくもに撃ちまくったが、襲撃を止めることはできなかった。
And way down they go⚓️
— UNITED24 (@U24_gov_ua) May 30, 2024
Last night, Magura V5 drones destroyed 2 russian KS-701 Tunets boats in Vuzka Bay, Crimea. Now these “tunas” will be where they belong.
Thank you to @DI_Ukraine’s Group13 and everyone who donated towards naval drones — your donations are working miracles💙 pic.twitter.com/qAEhl86Nce
FSBが黒海で運用するKS-701は約20艇なので、一度の攻撃で5分の1が一時的もしくは恒久的に失われたことになる。特筆すべきは、ウクライナは同じ日にクリミアで、国産のネプトゥーン(ネプチューン)巡航ミサイルか米国製のATACMS弾道ミサイル、あるいは両者を組み合わせた攻撃で、ロシアのフェリー2隻も損傷させていることだ。これらのフェリーは、ロシア本土からケルチ海峡経由でクリミア東部に物資を補給するのが主な任務だった。