2024年4月、学術誌Brain and Behaviorに掲載されたこの研究は、英国およびオランダの科学者からなる研究チームが行なったものだ。それによると、体を動かす活動を行なっている時、人は、時の流れがスローダウンしたように感じることが判明したという。
この研究は、33人の活動的な成人を対象にして行なわれた。これらの人々は、バーチャル環境を背景にしてリアルな自転車に乗り、1回につき4キロメートルの距離を漕ぐという対照実験に参加した。
このバーチャル環境は、参加者が熱心に取り組み、挑戦心をかきたてるように設定されていて、一部には、バーチャルな競争相手が表示される環境もあった。これは、他者の存在を意識することが、時間感覚に影響を与えるかどうかを確かめるためだ。
参加者は、エクサイズの前、中、後という3つの異なるタイミングで、時間感覚を尋ねるタスクに回答した。
その結果、エクササイズ中には、参加者の時間感覚に有意のゆがみが生じていることが明らかになった。具体的には、時間が伸びるように思える現象が起き、体を動かしているあいだの時間が、実際より長く感じられていたという。
さらにこの現象は、バーチャルな競争相手のあるなしに関わらず発生していた。ここから、この時間が伸びる感覚の原因は、他の人の存在よりも、エクササイズという行為そのものにあることが示唆されている。
研究論文の主著者の1人で、英国ケント州に拠点を置くカンタベリー・クライスト・チャーチ大学のアンドリュー・エドワーズ教授は、プレスリリースでこう述べている。「我々の研究結果は、健康に良いエクササイズの選択や、楽しさのレベル、さらには、運動のパフォーマンスを最適化するためにはこの知見をどう用いるべきかということに関して、いくつかの重要な含意を持っている」