欧州

2024.05.19 09:00

ロシア軍、クリミアで戦闘機4機撃破される大損害 「虎の子」MiG-31も初めて失う

ロシア軍のミコヤンMiG-31迎撃戦闘機。Kh-47M2キンジャール空対地ミサイルを搭載。2018年5月、モスクワ(Dianov Boris / Shutterstock.com)

M39A1は、射程160kmの「M39(ブロックI)」の射程を伸ばしたタイプだ。米国が昨年秋に供与した最初分のATACMSはすべてM39だった。一方、3月に供与された第2弾のATACMS100発あまりには、M39A1が少なくとも少数は含まれていた(編集注:長射程のATACMSの供与を3月に始めていたことは、ジェイク・サリバン大統領補佐官らが4月24日に認めた。長射程のATACMSはウクライナ向け追加支援予算法の成立を受けてバイデン政権が同日5月10日に発表した支援パッケージには明記されていないが、サリバンはさらに供与する方針を示しており、これらにも含まれる可能性がある。予算法には政権側に長射程ATACMSの「可能な限り早期」の供与を義務づけた条項もある)。
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M39からは擲弾(てきだん)サイズの子弾1000発近くがばらまかれる。M39A1ではロケットモーターが大型化された分、弾頭は小さくなり、撒布される子弾は300個弱となっている。

ロシアのある有名な軍事ブロガーによると、ウクライナ軍は14〜15日の夜にベルベク飛行場に向けてATACMSを10発発射した。ベルベク飛行場はM39では届かないが、M39A1なら届く。基地にはこの夜、3000個近くの子弾が降り注いだ可能性がある。

被害は甚大だった。S-400のレーダー1基と発射機2基が撃破され、燃料貯蔵庫1カ所が夜通し燃え続けた。同じブロガーはMiG-31が1機、Su-27が3機損傷したとも報告していたが、のちに衛星画像から実際の被害はもっと深刻だったことが判明した。

米コロラド州に本社を置くマクサー・テクノロジーズの画像によると、駐機場でMiG-31が2機、Su-27かSu-30が1機、そしてMiG-29Kとみられる機体1機焼失していた。ロシア軍がこの戦争でMiG-31を戦闘によって失ったのは初めてだ。MiG-29Kも同機と確定すれば初の損失になる。
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被害の程度が明らかになるにつれて、ロシアの軍事ブロガーらは怒りを募らせている。あるブロガーは「なぜ防護物が設けられていないのだ」「(全面侵攻の開始から)2年3カ月たつのに、なぜわが軍の地対空ミサイルシステムはいまだに野ざらし状態なのか」と疑問を呈している

さらに「われわれは昨年秋から、ウクライナ軍はクリミアに対する攻撃に全力を注ぐだろうと警告してきた」と不満を示し、ロシア軍の指揮官たちは「この脅威を軽んじてきた」と嘆いている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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