新造分と長期保管していた古い車両の改修分を合わせても、月に600両超にのぼる戦車や歩兵戦闘車、装甲兵員輸送車の損失ペースにはとても追いつかない。
戦争が3年目に入るなか、ロシア軍部隊がトラックやゴルフカートのようなオープンタイプの車両で戦場に乗り込む例が増えているのはそのためだ。最近はさらにオートバイを使うことも多くなっている。
もっとも、ロシア軍部隊が無防備な、あるいは最小限の防護しかない車両をよく乗り回しているからといって、戦場でウクライナ軍に勝てていないというわけではない。ウクライナ側もまた、弾薬が枯渇し、人員も不足するという問題を抱えている。
だが、ロシア軍の車両の「退化」は、ロシア側が当初は数日でロシアの勝利に終わると見込みながら、実際は長く続く消耗戦になったこの戦争で、ロシア側の最も深刻な課題のひとつを浮き彫りにしている。ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトの創設者「タタリガミUA」(@Tatarigami_UA)が指摘するように、「ロシアは依然として戦場で深刻な脅威だが、失った装甲車両を補充する能力は限られる」のだ。
While Russia remains a serious battlefield threat, their ability to replace lost armored vehicles is limited. A vivid example is the motorcycle abandoned during the assault in the Bilohorivka area, where a pallet was used as a sidecar to transport assault infantry pic.twitter.com/bFmj6JY9cR
— Tatarigami_UA (@Tatarigami_UA) May 4, 2024
2024年のロシア軍で問題なのは、専用の装甲車両に加え、もともとは民生用だった大型車両も不足しているために、無防備なオートバイでウクライナ側の陣地に直接乗りつけていることだ。2カ月かそこら前、ゴルフカートのような中国製デザートクロス1000-3全地形対応車でやり始めたのに続く動きだ。ウクライナの戦場記者ユーリー・ブトゥソウは「ゴルフカートの代わりに今度はオートバイが使われ出している」と伝えている。