欧州

2024.05.19 09:00

ロシア軍、クリミアで戦闘機4機撃破される大損害 「虎の子」MiG-31も初めて失う

ロシア軍のミコヤンMiG-31迎撃戦闘機。Kh-47M2キンジャール空対地ミサイルを搭載。2018年5月、モスクワ(Dianov Boris / Shutterstock.com)

ウクライナ軍が14日から15日にかけての夜、地対地弾道ミサイル「ATACMS」でロシア占領下クリミアのセバストポリ近郊のベルベク飛行場に対して行った攻撃(編集注:攻撃は次の夜にも行われたという情報がある)で、ロシア空軍と海軍の駐機中の戦闘機少なくとも4機が撃破されたことが明らかになった。

ロシア軍が1日に被った航空機の損害としては、ロシアがウクライナで拡大して2年3カ月たつ戦争で最大級のものになった。これより大きな損害が出た可能性があるのは、2023年5月、ロシア南部で戦闘機やヘリコプター少なくとも4機、もしかすると5機が、ウクライナ空軍のパトリオット地対空ミサイルシステムで撃墜されたものぐらいだ。

ウクライナ南部の前線から南へおよそ240km離れたベルベク飛行場は、ロシア空軍のSu-27戦闘機やSu-30戦闘機、ロシア海軍のMiG-31迎撃戦闘機などの拠点になっている。海軍のMiG-29K艦上戦闘機もここに配備されているようだ。

MiG-31は、ウクライナに対するロシアの戦争で最も危険な軍用機のひとつに数えられる。MiG-31は射程320kmを超えるレーザー誘導のR-37空対空ミサイルで武装し、これまでにウクライナ空軍の戦闘機数機を撃墜したほか、ほかの多くの戦闘機に任務を断念させてきた。

ベルベク飛行場を攻撃から守るために、ロシア空軍はS-400長距離地対空ミサイルシステムを配備している。S-400は飛来してくるウクライナ側のミサイルなどを一部は撃墜しているものの、それと同じくらいの数を迎撃し損ねているようだ。

14〜15日の夜、ウクライナ軍は英国やドイツ、イタリアから供与された装軌(キャタピラ)式の多連装ロケット砲システム(MLRS)か、米国から供与された装輪式の高機動ロケット砲システム(HIMARS)から、精密誘導されるATACMSの射程305km型「M39A1(ブロックIA)」を一斉発射した。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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