ロシアの対独戦勝記念日の5月9日、ロシア軍部隊がハルキウ州に侵入した直後はウクライナ領土防衛隊の軽装備の現地部隊が単独で応戦したが、その後、重装備の部隊が増援した。ロシア側は歩兵の突撃部隊を戦車で増強しようとしたが、それらの戦車はウクライナ側のドローン(無人機)に狙われ、破壊された。
前線の状況は安定しつつある。両軍の部隊が個々の建物をめぐって戦い、膠着状態になってきている。ウクライナの従軍記者ユーリー・ブトゥソウは「ハルキウ州北部でのロシア軍の攻勢は実質的に押しとどめられた」と16日に報告している。
次に何が起きるかはロシア側次第だ。ロシア軍は東部の部隊を北に移して、あらためてウクライナ側の防御線の突破を図り、ウクライナ第2の都市ハルキウに向けて進撃しようとするかもしれない。ハルキウ市はロシアとの国境からわずか40kmしか離れておらず、ウクライナで最も攻撃を受けやすい都市になっている。
ロシア軍はあるいは、ウクライナの村や都市を無傷のまま占領することが不可能になった場合によくやるように、国境付近の交戦中の村や都市を徹底的に爆撃し、廃墟に変えてしまうかもしれない。
ウクライナ側にとって不吉なことに、ロシア軍の首脳部は後者を選ぼうとしている兆候がある。現在の侵攻作戦で最東端の目標になっている都市ボウチャンシクには、すでにロシア軍のクラスター弾が降り注いでいる。
今回の攻撃は、この戦争を観察してきた人たちの間では予想されていたものだった。数週間前からロシア軍の連隊や旅団が国境付近に集結してきており、作戦の決行日としては戦勝記念日が最もありそうだと考えられていた。