宇宙が世界を変える方法
宇宙は、気候危機の影響から経済格差に至るまで、世界で最も差し迫った課題に解を見出す可能性を秘めています。たとえば、スペーステクノロジーは、すでに災害警報や災害管理において重要な役割を果たしています。気候災害のモニタリングの改善、レジリエンス(強靭性)の高い通信ネットワークへのアクセス向上、衛星測位データによる追跡の最適化などにより、この役割は何倍にも増強されることが予想されます。
また、スペーステクノロジーは、老朽化した産業インフラからのメタン漏れを監視するなどのイノベーションを通じて、気候変動を緩和する取り組みを支えるでしょう。
社会経済的なメリットもあります。宇宙は、デジタル・デバイド(情報格差)の解消、教育やヘルスケアへのアクセス拡大、農業や天然資源、環境変化の精密なモニタリングなどを通じ、教育を受けやすくし、経済活動を容易にすることで、不平等の解消に向けた極めて重要な役割を果たすと考えられています。
宇宙の可能性
将来的には、あらゆるセクターがスペースエコノミーの原動力になり得るとレポートは指摘しています。マッキンゼー・アンド・カンパニーのシニア・パートナーであるライアン・ブルカート氏は、次のように述べています。「農業、建設、保険、気候変動の緩和などの分野でますます多様化するビジネスが、新たに拡大するスペースエコノミーを牽引する可能性があります。官民のステークホルダーは、宇宙が持つ可能性を十分に理解し、それを受け入れることで、スペースエコノミーのリーダーとしての地位を確立し、長期的な利益を引き出すことができるのです」。
レポートは、2035年までに世界のスペースエコノミーの規模は1兆8000億ドルになると予測しています。ただし、データへのアクセスが改善され、宇宙への参入コストが削減されれば、2兆3000億ドル規模まで拡大することが見込まれ、逆に宇宙へのアクセスが停滞し、宇宙ではなく地球での技術進歩が大勢を占めれば、1兆4000億ドルにとどまるとの見方が示されています。
いずれにせよ、宇宙の可能性を理解して受け入れることが重要です。それにより、宇宙が持つ無数の可能性を解き放ち、すべての人に利益をもたらすことができるようになるのです。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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