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2024.03.14 09:45

物流の「2024年問題」をチャンスに 日本が編み出す、輸送の効率化

shutterstock

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4月より、トラックドライバーの年間時間外労働上限が960時間に制限されます。「2024年問題」に備えて、物流業界は商慣行の見直しや物流の効率化を迫られています。

官民連携、これまでの商慣行にとらわれない新たな発想、先端テクノロジーの導入が、持続可能でレジリエントな物流業界の未来を切り拓く鍵となるでしょう。本題についてWEFのアジェンダからご紹介します。


コロナ禍からの経済回復が進む一方、さまざまな課題が浮かび上がっています。その中でも、物流の「2024年問題」は対策が急がれる課題のひとつです。

労働者不足を理由に、これまで時間外労働の上限規制が例外的に猶予されてきた物流業界。今年4月から、トラックドライバーの年間時間外労働の上限が960時間に制限されることになりました。

背景にあるのは、労働者が多様な働き方を選択できる社会の実現を目指し、2018年に公布された働き方改革関連法。2019年から順次施行され、長時間労働の是正やフレックスタイム制の拡充、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保などを通じて、日本全体の労働環境改善と生産性の向上が図られています。一般的に、時間外労働の規定は年間360時間ですが、事業や業務の特性上、物流・運送業界には年間960時間の上限制限が適用されます。

こうした規制により、ドライバーの労働環境の改善が期待される一方、長距離トラックドライバーを中心に人手不足が加速し、対策を講じなければ、2024年には約14%、2030年には約34%運送能力が不足すると試算されています。この影響は、物流・運送企業の売上減少、労働時間の短縮に伴うドライバーの収入減少、運賃値上げによる荷主の物流コスト上昇など広範に及ぶ懸念があります。

迫る物流の「2024年問題」に先駆け、政府は2023年6月に「物流革新に向けた政策パッケージ」と「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を策定。物流事業者や発荷主・着荷主事業者に、商慣行の見直しや物流の効率化への取り組みを義務付ける方針を示しました。こうした指針を基盤に、持続可能な物流業界の成長に向けた官民の取り組みが加速しています。

「フィジカルインターネット」が課題解決の糸口に

インターネットのパケット交換の仕組みを物流に応用し、物流システムの効率化を図る、「フィジカルインターネット」の実現に向けた動きが本格化しています。

コンセプトは、企業間で輸送手段や倉庫を共有することで物流リソースの稼働率を向上させ、より少ない数のトラックで目的地までのルート上にある倉庫を経由し最適ルートで荷物を運ぶことで、環境負荷も低減する持続可能な物流システムを構築するというもの。

政府は、2040年の実現を目指し「フィジカルインターネット・ロードマップ」を策定し、IoTやAI(人工知能)を利用した物資や輸送資産情報の共有・最適化や、パレットやコンテナ容器等の物流資材の規格統一化など、各業界が2040年までに段階的に行うべき取り組みを具体的に提示しています。
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文=Naoko Tochibayashi, Communications Lead, Japan, World Economic Forum; Naoko Kutty, Writer, Forum Agenda

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