3. 宇宙は、人とモノをつなぐものへと変化
サプライチェーンと輸送、食品と飲料、国防、小売・消費財・ライフスタイル、デジタル通信の5つのセクターが、2035年までにグローバルなスペースエコノミーの60%を生み出すと予測されていますが、他のセクターも恩恵を受けるでしょう。4. 宇宙の投資対効果は金銭的なもの以上
災害警報や気候監視から、より良い人道的対応、より広範な繁栄をもたらすことに至るまで、世界の課題を解決していく上でますます重要な役割を果たすでしょう。スペースエコノミーの拡大
打ち上げコストの低下と継続的な商業技術革新により、宇宙ではこれまで以上に多くのことができるようになります。例えば、年間に打ち上げられる衛星の数は50%ずつ増加しており、打ち上げコストは過去20年間で十分の一になりました。コネクティビティの鍵となるデータのコストも低下しており、この傾向はさまざまなセクターにおいて今後も続くでしょう。さらに、30年代前半から半ばにかけて大型ロケットの技術が広く行き渡れば、軌道上に何をどの程度の価格で打ち上げるかについて、より多くの機会が開かれるようになります。
また、国家や非国家主体を含む幅広い投資家が宇宙へ投資しており、2021年と2022年の投資額は700億ドル以上と過去最高を記録しています。
一方、宇宙旅行も、もはやSFの領域ではありません。2035年までの市場規模は約40億~60億ドル。これは、超富裕層による宇宙ステーション軌道上滞在による収益が大半を占めると予想されています。
宇宙企業、アクシオム・スペースのマイケル・サファディーニ最高経営責任者(CEO)は、次のように述べています。「文明の進歩にとって重要なのは、宇宙政策の枠組み、先駆的なビジネスモデル、活気あるスペースエコノミーの発展が相乗効果を発揮することです。宇宙の未来は、私たちが築く目的地にだけでなく、その過程で私たちが創造する経済的なエコシステムにあるのです」。
レポートはまた、スペーステクノロジーの範囲は2035年まで拡大の一途をたどり、グローバル経済に革命を起こす可能性があると指摘しています。例えば、サプライチェーンと輸送は、より効率的で費用対効果の高いロジスティクスの恩恵を受け、食品と飲料では、生鮮品のラストワンマイル配送の効率が向上するでしょう。
さらに、農業、情報技術、保険、建設など関連のある産業はすべて、宇宙システムを活用したテクノロジーが生み出す数十億ドルの収益、コスト効率および環境上の利点により利益を得ると予測されています。
「何十年もの間、地球観測(EO)衛星は重要なツールでしたが、あまり利用されてきませんでした」と、プラネットラボのヨーロッパ・中東・アフリカ地域政務担当副社長であるアニエツカ・ルカチェック氏。「今、クラウドコンピューティング、データ、AIの革命により、EOデータは、農業からESGレポートまで、数え切れないほどの日々の意思決定で活用されるようになっています」。