ほどなくして、同じような格好をした戦車が、ロシアがウクライナで拡大して2年3カ月目に入る戦争の約1000kmにおよぶ戦線の各地に出没し出した。多くはドローン対策のジャマー(電波妨害装置)も備えるようになっている。この戦車はロシア側では「皇帝のグリル」、ウクライナ側では「亀戦車」などと呼ばれている。
ロシア軍の攻勢で運用され始めて2カ月目に入るなか、亀戦車はまた新たな進化を遂げたようだ。最新の映像では、甲羅のような硬い金属製外殻の上にもう一層、金属製の格子をまとっていた。
this thing is huge. If it's role is purely plow the mines, it can work. However it's clear that it can't aim properly.
— ✙ Constantine ✙ (@Teoyaomiquu) May 5, 2024
The tracks are still very vulnerable. however the FPVs are really hard to aim into the tracks, because of high chances of losing control over the drone at the… pic.twitter.com/JdIfLlPGzX
亀戦車はだんだんと図体が大きくなり、ますます異様な格好になってきている。しかし、与えられた目的はむしろしっかり果たせるようになっているのかもしれない。亀戦車は実は車体前方に地雷を起爆させる金属製ローラーも装備していて、英国の兵器史家マシュー・モスは「装甲突撃縦隊の前に走らせる地雷除去車両として使われている」と解説している。
前線近くの作業所で付け足されているこれらのDIY装甲は、ウクライナ軍が毎月10万機投入している自爆型FPV(一人称視点)ドローンから車両本体を守るのにかなり役立っているらしい。通信アプリ「テレグラム」のウクライナ側のあるチャンネルは「(ロシア軍の)戦車1両に対して多くのFPVドローンを費やすことになった」と明かし、「みな(亀戦車の)納屋のような構造をあざ笑うけれど、実際はムカつくほど効果がある」と憤っている。
亀戦車はロシア軍による戦場への「適応」の一形態である。問題は、それがたったひとつの脅威、つまりFPVドローンに対する適応だということだ。たしかに、ウクライナ側がここ数カ月のように砲弾や対戦車ミサイルが枯渇し、大量の国産FPVドローンでの代替を余儀なくされている間は、亀戦車が自分の役目を果たしつつ攻撃を生き延びる可能性は十分あるだろう。