ただ、その第115旅団については、装備が不十分で、ウクライナ軍のほかの部隊と同様、弾薬が枯渇しているという指摘もある。弾薬の枯渇は、米議会のロシアに好都合な共和党議員らが、ウクライナへの新たな支援を半年にわたり滞らせていた結果だ。
いずれにせよ留意しておくべきなのは、ウクライナ軍のどの旅団もロシア軍の容赦のない爆撃にさらされており、防御陣地の保持に苦労しているという点だ。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は25日の作戦状況評価で、ロシア側は「航空および火砲の面で優位に立っており、タウリヤOSG(作戦戦略部隊集団)の陣地をほぼ継続して攻撃している」と報告している。
戦闘が激しさを増すにつれて、火力の不均衡は決定的なものになる可能性がある。ロシア軍の指揮官たちは好機と判断し、さらには自分たちが有利だと確信しているとみられ、第15、第74両独立親衛自動車化狙撃旅団のほか、第90親衛戦車師団の一部、特殊部隊をオチェレティネ村方面の突出部に押し込んだ。
これに対して、ウクライナ側は少なくとも7個旅団と1個独立大隊が反撃している。具体的には第23、第25、第47、第100、第115各独立機械化旅団、第25独立空挺旅団、第3独立強襲旅団、第425独立強襲大隊である。ただ、各旅団が一度に投入するのは1個大隊だけなのが普通だ。
ロシア側が突出部の中や周辺に展開させた兵力は1万人あまりにのぼるとみられる。対するウクライナ側は、CDSの推定が正しければ総勢わずか3000人程度だ。
もっとも、攻撃よりも防御のほうが容易だというのは、攻撃側が火力で優位に立つ場合も当てはまる。だから、ロシア側がこの戦いに勝利し、ウクライナ側を撤退に追い込めるという保証はない。