第100旅団は経験が浅いわけではない。所属する2000人かそこらの将兵は、ロシアがウクライナで拡大して2年2カ月たつ戦争で何度も戦闘を行っている。だが、この旅団は、第47旅団のような精鋭部隊の戦闘力の中核になっている重装備、つまり西側製の戦車や歩兵戦闘車、大砲は持っていない。
それでも第100旅団は奮戦し、線路沿いにオチェレティネからさらに11kmほど西のプロフレス村方面への前進を試みたロシア軍の第30旅団や第41諸兵科連合軍の部隊を食い止めた。「第100機械化旅団の反撃が功を奏し、プロフレスに向けた前進の試みは阻止された」とディープステートは報告している。
オチェレティネ方面で次に何が起こるかは不透明だ。ウクライナのシンクタンクである防衛戦略センター(CDS)は24日の戦況評価で、ウクライナ側は今のところ「(オチェレティネ)村の西部で陣地を保持し、村の南部に対する火力統制も維持している」と分析している。
とはいえ、ウクライナ軍が比較的弱い旅団を戦闘に投入せざるを得なかったことは、アウジーウカ西方でのウクライナ側の予備の乏しさを物語っている。対するロシア側はこの方面で、まるまる1個の戦車師団、第90親衛戦車師団を予備として温存している。
ウクライナ軍の東部作戦コマンド(統合司令部)が追加の予備を動員する前に、第90師団がオチェレティネ方面に突入すれば、ロシア軍の侵入は本格的な突破に拡大する可能性がある。ウクライナ軍の数万人規模の部隊は、さらに西にある次の防御線まで後退を余儀なくされるかもしれない。
ウクライナが希望をもてる最大の理由は、米議会で半年間滞っていた追加支援案が23日にようやく可決されてからすぐ、ジョー・バイデン政権がまず10億ドル(約1550億円)分の弾薬をウクライナに急送したことだ。
オチェレティネ方面のウクライナ軍部隊は、手に入る限りあらゆる銃弾、砲弾、ミサイルを必要としているはずだ。とりわけ、軽装備の第100旅団はそうに違いない。
(forbes.com 原文)