では、小惑星からの資源採掘はどうだろうか?
地球に接近する軌道を持つ地球近傍小惑星から鉱物資源を採取するという壮大な計画は、15年から20年ほど前は盛んにもてはやされていたが、最近はあまり聞かない。
小惑星からの資源採掘に、初期の段階で手を上げた者たちは、このプロジェクトの困難さを過小評価していたため、確保した資金は必要額に到底足りず、事業継続のためにかき集めた資金では十分な進展は得られなかったと、パイルは指摘する。
パイルによれば、太陽系の小惑星帯(メインベルト)にある小惑星「プシケ」(16Psyche)には、採掘可能なプラチナが埋蔵されており、その価値は最大で10京ドル(約1500京円)におよぶ可能性があるという。
ただし、プラチナのような貴金属やレアアースと呼ばれる鉱物を、採算を確保しながら、大量に、なおかつ安全に地球まで運ぶにはどうしたら良いのかという難問が残っている。
理由その4:多くの人は「宇宙開発は、地球が抱える問題を解決する役には立たない」と考えている
低軌道への旅行が可能になったことで、広く一般の人々が、私たちが暮らす惑星、地球のはかなさを知り、この惑星を守るために最善を尽くすべき理由を悟るようになった側面はある。我々人類が直面する環境問題について大量の知見が得られているのは、地球を周回する数多くの人工衛星など、宇宙環境に送り込まれた資産があってこそだと、パイルは語る。
NASAの予算のうちかなりの部分は、地球の観測に割かれており、気候やより広範な気象、そしてこの2つが環境に与える影響が主要なテーマとなっているという。