食&酒

2024.04.12

17の地域の料理を知ることができる「池袋『ガチ中華』街歩きツアー」

いま最も人気の「ガチ中華」、四川風白身魚の麻辣煮込みの「烤魚」は池袋にある「諸葛烤魚」や「撒椒」で食べられる 写真=佐藤憲一

都内に急増する「ガチ中華」の発掘を始めて早4年。続々とオープンする新しい店や食材店の報告、食フェスの実況、料理のレシピ公開、食事会の開催などの楽しい話題を、SNSで知り合った「ガチ中華」を愛好する人たちと日々共有し交換してきた。

おいしい話はみんなでシェアしよう。そのほうが、「ガチ中華」の世界もリアルに見えてくるだろうと考えてのことだったが、何よりこのコミュニティ「東京ディープチャイナ研究会(TDC)」を通じて、さまざまなバックグランドを有する事情通の人たちと知り合えたことは、いちばんの収穫だったと思う。

2022年には流行語大賞にノミネートされるほど、かなりの認知度を得た「ガチ中華」だが、実際にどんな料理なのか、どこに行けば食べられるのかなど、まだ一般の人たちに深く知られていないと感じることも多い。

それにはもろもろの事情があることは理解できる。たとえば、「ガチ中華」はこれまで日本の人たちが知っている中華料理の概念を大きく超える広域にまたがる食文化であるせいだ。

20世紀の中国ではこれほど豊饒な食の世界は一般的ではなく、2000年代以降の急速な経済成長とともに出現した経緯から、中国に駐在や留学、出張ベースで何度も訪ねた人でもなければ、その世界を知る由がなかったからでもある。

都内の「ガチ中華」の店を訪ねても、一部の店を除き、まだそれほど多くの日本の人たちが食事を楽しんでいる姿が見られないのも実際だ。ちょっと残念なことだと思う。

池袋で楽しめる17の地域の「ガチ中華」

こうした「ガチ中華」が都内で最も多く集中的に出店されているのが池袋である。

ところが、先ほど述べた事情に加え、ここ数年あまりに急に増加したことで、地元の人たちも含め「いったい何が起きているのか」と、「ガチ中華」という現象に得体の知れないものを感じている人たちもいると思う。

ならば、その世界を誰にでもわかるように、詳らかにするのはどうか。そう考えて、今年2月から月1回のペースで始めたのが、「池袋『ガチ中華』街歩きツアー」である。

「池袋『ガチ中華』街歩きツアー」のスタートは池袋駅西口(北)出口から

「池袋『ガチ中華』街歩きツアー」のスタートは池袋駅西口(北)出口から

ツアーの内容は、参加者とともに筆者が池袋西口周辺に点在する「ガチ中華」の特徴的な各店を訪ね歩きながら、そこで食べられる料理やオーナー、調理人の来歴などを解説するというものだ。ツアーの最後には、希望者と一緒に「ガチ中華」での打ち上げも行っている。

これはリアルな「ガチ中華」の世界を知ってもらうには、実際に店を案内するのがいちばん手っ取り早いと考えたからである。もちろん、すべての店を紹介することなどできないが、人気店はもとより、レアな地方料理の店、最新の海外チェーン、ユニークなオーナーの店など、知られざる穴場まで案内しようという企画である。

ツアーの募集は、東京ディープチャイナ研究会(TDC)のSNSで行っているが、毎回定員は10名ほどにしている。うれしいことに、募集すると数日で予約は埋まる。参加者は年代もさまざまだが、3月に行ったツアーでは、20代、30代の若い女性の参加者が多かった。未知なる食に対する好奇心は女性のほうが強いのかもしれない。

学生ライターの中原美波さんがアシスタントとして参加して、店ごと、地域ごとに異なる料理写真を参加者に見せてくれた

学生ライターの中原美波さんがアシスタントとして参加して、店ごと、地域ごとに異なる料理写真を参加者に見せてくれた

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文=中村正人、写真=東京ディープチャイナ研究会

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