2024.04.03 12:30

EVになったクラシックな「ミニ」は完璧な街乗りクルマ ただし買えるなら

エクステリアは1959年当時の見た目を保っているが、その中にはLEDを使用したヘッドランプとテールランプ、ウインカーなど、現代のテクノロジーが盛り込まれている。ホイールにはオリジナルの10インチより大きい12インチが選択されており(クラシック・ミニも1985年より12インチになっている)、タイヤの幅も145mmから165mmに拡大。バンパーはドアハンドルやサイドミラーと同じクローム仕上げだ。前後ランプの周囲、窓枠、そして充電ポートにもクロームメッキが施されている。全体の見た目はとてもクラシックだ。

現代的にアップデートできなかった「室内の狭さ」

このミニでも現代的にアップデートできなかった点がある。それは室内の狭さだ。前席の空間は大人が2人座っても問題ないが、後部座席に座る人は、子どもでさえ窮屈な思いをするだろう。ミニeマスタードでも4人の大人を運ぶことはできる。だが、後席に追いやられたら快適な乗り心地は望めないし、後席に乗り込むことも容易ではない。しかし、フロントシートは非常に快適で、贅沢な革張りで仕上げられている。

すべてのスイッチ類はしっかりした質感で、ローレット加工が施されたアルミ製。ブレーキペダルを踏みながらスタート/ストップボタンを押すとシステムが起動する。ギアシフトを模したレバーを後方に倒すとドライブ(前進)、丸いリングを引き上げながら前方に倒せばリバース(後退)を選択できるが、駐車する際に助けてくれるカメラやセンサーの類はない。ハンドブレーキは手動式。センターコンソールにはハザードライトやフォグランプ、リアガラスの熱線(曇り取り)のスイッチが並ぶ。時計や中央の特徴的なスピードメーターなど、ダッシュボードの丸いアナログ式の計器は往時の雰囲気を保っている。

インテリアは高級に設えられているが、オリジナルのミニと同じく狭い(David Brown Automotive)

インテリアは高級に設えられているが、オリジナルのミニと同じく狭い(David Brown Automotive)

発売当初のオリジナル・ミニにはエアコンが装備されていなかったため、デビッド・ブラウン・オートモーティブは苦心してこれを小さなエンジンルームに押し込んだ。このエアコンはとてもよく効く。とはいえ、冷風は中央に備わる2つの通風口からしか出てこない。ダッシュボードの両端にあるほかの2つの通風口は、車体外側の外気取入口につながっているだけで、空調を通っていないのだ。

パイオニア製の7インチ・スクリーンを備えたちゃんとしたインフォテインメント・システムも装備されている。これは衛星ナビを搭載しているが、アップルのCarPlayやAndroid Autoにも対応しているので、おそらく自分のスマートフォンの地図アプリをナビゲーションに使うことになるだろう。グローブボックスには携帯電話接続用のUSB端子も備わる。パイオニア製のサウンドシステムは4個のスピーカーを駆動する。それがサンディ・ショーやルル(どちらも1960年代より活動している英国の歌手)、ビートルズの曲をとても効果的に聴かせることは確認できた。おそらくもっと最近の音楽でも、それは変わらないだろう(あまり素直に認めたくないが)。
Apple CarPlayとAndroid Autoに対応する現代的なインフォテインメントシステムも搭載(David Brown Automotive)

Apple CarPlayとAndroid Autoに対応する現代的なインフォテインメントシステムも搭載(David Brown Automotive)

次ページ > エンジンのミニよりはるかに速い

翻訳=日下部博一

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事