マーケティング

2024.03.21 16:15

女性10人が6日間走り続ける。なぜルルレモンが「ウルトラマラソン」を実施したのか

ウルトラマラソンの会場となったカウィラ湖。10人のアスリートが一斉にスタートし、その後は各々のタイミングでランや休憩を続けた


さらに研究チームは、精神疲労耐性をサポートするための心理学的な研究も進めている。アスリートたちがウルトラマラソンの直前・直後にどのようなストレスを感じているのかを知るため、「なぜ走るのか」「なぜその目標を追求するのか」といったインタビューを実施し、実際のウルトラマラソン走行中も彼女たちを観察した。
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食事に関しては、6日間で約6万カロリーが消費されると予想し、専任シェフが十分なカロリーを摂取できるように食事を提供する。走行中も血糖値やエネルギー状態、深部体温の測定などを、ウェアラブルデバイスを用いて測定した。

研究チームは、イベント以降もアスリートたちをモニターし、調査を続ける。そして、その研究結果(初期の結果)は、今秋にケーススタディとして公開予定だ。

支払う代償は小さい

CBOのノイバウアーは、「今回のウルトラマラソンでは、我々にとって大胆な目標を掲げたけれど、ルルレモンのブランド戦略においても、製品開発においてもとてもエキサイティングなプロジェクトになった」と振り返る。

彼女いわく、同社はその大胆な“北極星”にたどり着いた後も新たな“北極星”を設定し、製品の革新や地域社会への貢献などを通して、「何が可能か」を明らかにしていくという使命を背負い続ける。
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そして明らかになった結果は、自社のためだけではなく広く共有する。その理由は、他のブランドや組織、政府に対して、女性に関する研究、イノベーション、アクセスのギャップに目を向け、公平性を高めるよう働きかけるためである。

ウルトラマラソンのプロジェクトは1年以上前からスタートし、6日間のイベント、そして事後も研究が継続する時間も費用もかかる大規模なプロジェクトだが「目指す全体像からすれば、支払う代償は小さいと感じられる」とノイバウアー。ブランドビジョンを実現すべく、必要な投資は続ける方針だ。

なお、同社は本イベント内でオバマ財団の「Girls Opportunity Alliance」に追加で150万ドル(約2億2700万円)の寄付を行うことも発表した。思春期の女性と彼女たちの教育支援に取り組む団体をサポートする活動で、4年間で500万ドル以上の寄付を実施している。

文=田中友梨 画像提供=ルルレモン

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