女性10人が6日間走り続ける。なぜルルレモンが「ウルトラマラソン」を実施したのか

ウルトラマラソンの会場となったカウィラ湖。10人のアスリートが一斉にスタートし、その後は各々のタイミングでランや休憩を続けた

ヨガウェアなどを販売するプレミアム・アスレティックウェアブランドのルルレモンは3月6日から11日まで(現地時間)、米カリフォルニア州グレーターパームスプリングスで、10人の女性アスリートが6日間走り続けるウルトラマラソンを開催した。

ウルトラマラソンとは、42.195kmを超える道のりを走るマラソンのこと。カウィラ湖を会場に、1周約4キロの周回コースで実施された。ウルトラランナー・女子世界トップ記録の保持者カミーユ・ヘロンから、ウルトラマラソンに始めて挑戦するランナーまで参加し、それぞれが自ら設定した目標に向かって6日間走った。ヘロンは約901km(220周)を走り、女子の世界記録を塗り替える結果を残した。
ウルトラマラソンに参加した10人のアスリートたち。韓国の柔道黒帯を持つウルトラランナーユン・ヨン・カンやブラジリアン柔術アスリートのヴリコ・クォックなども参加した

“一歩を踏み出す”きっかけづくり

本イベントは、2023年5月に発表された同社のグローバルキャンペーン「FURTHER」の一環として実施。FURTHERは、すべての人の可能性と女性の可能性をたたえることを目的に、ランニングイベントを通じて“一歩を踏み出す”きっかけづくりをしてきた。

今回のウルトラマラソンでは、参加アスリートとともにウェアやシューズなどのアイテムを制作。それぞれが過酷な6日間のレースで最高のパフォーマンスを出せるよう、約1年かけて個別のニーズを研究し、36のイノベーションが生まれた。

同社が研究・開発に力をいれるのは、女性に焦点を当てた科学的な研究が不足しているから。CBO(最高ブランディング責任者)のニッキー・ノイバウアーによると、生理学の研究のほとんどは男性をターゲットにしたもの。“女性ファースト”の視点から研究することに意義があると考える。

「スポーツの世界においては、ほとんどの製品が女性の身体や女性特有のニーズを念頭に置いてデザインされていません。そのため今回は、開発チームとデザインチームが個々人のニーズを深く掘り下げ、彼女たちの目標達成に役立つような製品をつくりました。このイノベーションは今後のルルレモンの幅広い商品展開にもつながるでしょう」
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文=田中友梨 画像提供=ルルレモン

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