健康

2024.03.14

老化したら、どうなる? 「老いパーク」体験で得た想像力

老いパークの企画・調査を担当した、科学コミュニケーター園山由希江さん

「老いパーク」。突如SNSのタイムラインに流れてきたそのワードは、筆者に強い衝撃を与えた。

よく見ればそれは、国立の科学館「日本科学未来館」の新たな常設展名であるという。

ちょうど、好きな映画監督らによる老いがテーマの映画を立て続けに観たタイミング。スクリーンに映し出された自分にも確実に訪れるだろう未来はあまりにホラーで、将来への不安を抱くには十分だった。つい、「老いパーク」をジョージ・A・ロメロの恐怖の老人映画「アミューズメント・パーク」(1975)に重ねてしまった。

内閣府の「高齢社会白書」によれば、日本の高齢化率は29.0%(2022年10月時点)。2037年には、国民の3人に1人が65歳以上になるとされている。これは、世界で最も高い高齢化率*だ。

誰しもに訪れる遠くない未来。“老い”のために、社会に必要なソリューションはどのようなものなのだろうか。恐怖に怯えるのではなく、未来を明るいものにするために行動したい。そのヒントを得るために「老いパーク」を訪れることにした。

*「令和5年版高齢社会白書」より

科学館で自分の未来を考える

2023年11月、日本科学未来館は「ロボット」「地球環境」「老い」をテーマにした4つの常設展示を公開した。これらは、2030年に向けた同館の新ビジョン「あなたとともに『未来』をつくるプラットフォーム」に紐づいている。

このビジョンを先導するのは、2021年、宇宙飛行士の毛利衛さんに代わり第2代館長に就任した浅川智恵子さんだ。視覚障害がある当事者であり、アクセシビリティ技術研究の第一人者の浅川館長が目指すのは、障害や年齢、国籍といった違いに左右されず、多様な人が楽しみ、交流できるプラットフォームとしての科学館。

4つの常設展示は、そんな誰もが未来の社会課題を「自分ごと」として捉えるきっかけを提供する目的で制作された。

日本科学未来館 2030 コンセプトムービー「Mirai can_!」篇
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文=佐藤祥子

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