マーケティング

2024.03.21 16:15

女性10人が6日間走り続ける。なぜルルレモンが「ウルトラマラソン」を実施したのか

ウルトラマラソンの会場となったカウィラ湖。10人のアスリートが一斉にスタートし、その後は各々のタイミングでランや休憩を続けた

個々人のニーズを満たすイノベーション

製品イノベーション担当のバイスプレジデント、シャンテル・マーナハンによると、参加ランナーのほとんどが6日間のウルトラマラソンは未経験のため、未知の領域で起こることを想定し、対応する必要があった。
ウェアはアスリートたちの身体を3Dスキャンして制作された。マネキンでもそれぞれのアスリートの身体が表現されている
advertisement

開発においては、6日間常時稼働する機能と、状況に応じて変化する機能に分けて研究を進めた。前者はフィット感やコンプレッション、栄養補給品を収納できるストレージなど。後者は保温や通気性、冷却、UV機能などである。特に重要な課題だったのが、1日の中で大幅に変化する気温への対応と、走り続けることで必ず障壁となる筋肉損傷のペースを緩やかにすることの2つだ。

例えばスポーツブラは、ブラ全体に均等に圧力を分散しながら、長時間の着用でも快適な着心地を保った。また、ウェアの背中上部に冷却材を入れるポケットをつくり、そこに保冷機能がある素材を使用するなど、直射日光の当たる日中のランにも対応した。さらに、ボトムスの脚上部はコンプレッションによって身体にほとんど負荷をかけない設計とし、筋肉疲労や筋肉損傷を遅らせることに成功した。

「1年前にスタートしたときは、まさかこんなことになるとは思っていませんでした。アート、サイエンス、テクノロジーを組み合わせて業界をリードする製品体験を提供することができ、そのことが私たちを新たな高みへと押し上げました」(シャンテル)

冷却が重要なマリーナ・ヴァレリオには、高温の中でも冷却を維持できるアイスベストが開発された
advertisement

長時間走り続け、100万歩以上を踏み出すウルトラマラソンでは、シューズも重要だ。2022年にシューズ市場に参入したルルレモンだが、2年かけて女性ファーストの研究・開発を重ねてきた。今回はその実績をもとにアスリート個々人に合わせた製品を開発した。
次ページ > 女性の足の形や動きに合わせたシューズ

文=田中友梨 画像提供=ルルレモン

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事