一方で、堀田さん自身が直感的に惹かれている国外のアーティストやヨーロッパのデザインミュージアム経営者をコラボレーター候補として挙げ、「こういう方々と『文化とデザインの複雑性』を一緒に考え、文化が融合する場所にしていきたい」と、発表を締めくくりました。
工芸技術の価値を実感してきたからこそ、「こうあるべき」「こうしていきたい」という具体的なビジョンがある。同時に、今を生きる個人として美しいと感じるモノや、素敵だと思うことも、堀田カーペットを通じて体現していきたいという思いもある。
そう模索する中で、最終的に2つの世界をきれいに1つにまとめようとするのではなく、この共存を「複雑性」という価値として歓迎するに至ったのは、新・ラグジュアリーを考える上で、大変示唆に富むジャーニーだったように感じました。
「崇高」は交流から生まれる?
もう1人ご紹介するのは、スリランカで長期滞在型アーユルヴェーダ・リトリートホテル「Tagiru.」を経営する伊藤修司さんです。伊藤さんは、ご自身の難病がスリランカの伝統医療・アーユルヴェーダによって劇的に回復した経験をお持ちで、この感動を自分でも作っていきたいと、2022年にTagiruをオープンしました。
事業が回るようになって、長期的な未来を考える段階に差し掛かっていた頃に、『新・ラグジュアリー ―文化が生み出す経済 10の講義』を手に取り、同書で紹介されていた「Sublime(崇高)」というキーワードに新しい糸口を感じてこの講座への参加を決めたそうです。
最終発表では、まずこの「崇高」に対する考え方の変化について教えてくれました。