同社はこのほど、1つの石に2つの色を持つダイヤモンドを作った。
戦時下の困難を乗り越え事業継続
ウクライナの企業は戦時下でも事業を継続することで、国の経済の存続や国家の回復力、戦後の復興に重要な役割を果たしている。経済の安定に貢献し、戦時体制を支え、社会の安定を維持する。また、技術革新と適応を促進し、国民の意識と士気を高め、戦後復興の基盤を築いている。これらの企業は計り知れない困難の中でも踏ん張っており、究極的にはウクライナのために貢献している。ロシアによるキーウへの攻撃が始まり、工場が閉鎖されてから数週間後にAlkor-Dは再開された。「人々は働きたがっていた」とクーシャーは振り返る。防空壕を設けて労働者の安全を確保した。「空爆が始まったというメッセージが来ればいつでも防空壕に避難できる」のだという。
「当社の工場のようなウクライナ企業で働くことは、戦時下において重要性を増す」とAlkor-D工場の副所長マクシム・セルガは指摘する。「重要な雇用を創出し、家庭に安定をもたらし、納税を通じて経済を支えている。労働力の投入と納税の1つ1つが、社会全体の利益への献身的な貢献となり、勝利に少しずつ近づく」
だが、最大の問題は輸出だ。ダイヤを輸出するのに最適な輸送ルートを見つけるのに時間がかかった。国境を越えてポーランドに行くのに車を使い、空港に行くには別の車を使う。「かなりの長旅だ」とクーシャーはいう。
停電と電力不足の問題もある。工場では発電機を使用しているが、冬には電力不足が頻発するため、工場の大きな電力需要を満たせないことが多い。「電力不足のために多くのダイヤモンドを失っている」とクーシャーはいう。冬場は日が短く、太陽の高度が低くなるため、ソーラーパネルの日当たりが減る。冬には空爆も増える。「たった1日やそこらならなんともない。だが、停電がもっと長く続くこともある」それでも同社は粘り強く事業を続けている。
もう1つ抱えている問題は労働者の確保だ。「多くの人が戦争に行き、働く人が残っていない」とクーシャーは指摘する。「ダイヤをカットできる人を見つけることができない」ため、成長中の工場の操業を続けつつもカットの工程をインドに移したという。
読者のみなさんは難しい問題をどのように克服してきただろうか。
(forbes.com 原文)