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2024.03.10

人工ダイヤでウクライナに貢献を、戦時下で生産・販売を維持する女性創業者の願い

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戦争が続くウクライナで、革新的な企業が経済の安定と戦後復興への道を切り開いている。ソロ・フォー・ダイヤモンズとAlkor-D工場だ。環境に負荷をかけない持続可能な人工(ラボグロウン)ダイヤモンドを生産し、そうしたダイヤを洗練されたデザインのジュエリーに使用している。

米ダイヤ卸売のM.ゲラーの最高執行責任者(COO)ルイス・プライスは「自信に満ちた勇敢な女性たちが率いるウクライナ企業のストーリーを共有するためにソロ・ダイアモンズと提携した」と語った。「ウクライナでのあらゆる困難を乗り越えて、ソロ・ダイヤモンズはファッション性や特性、そしてジュエラーを際立たせるユニークなブランドを提供する革新的な人工ダイヤのジュエリーで消費者に喜びと幸せを届けている」

電力不足や輸送の問題、戦争による熟練労働者の不足などの困難に直面しているにもかかわらず、ソロとAlkor-Dは国を支え、前向きな影響を与えようとがんばっている。

環境に優しく革新的、そしてスタイリッシュ

最高経営責任者(CEO)のジュリア・クーシャーが創業したソロ・フォー・ダイヤモンズは、人工ダイヤを使った高級ジュエリー専門のブランドだ。クーシャーが2015年に立ち上げたAlkor-Dという工場で生産される人工ダイヤを使っている。同工場は主に、人工ダイヤが消費者に比較的受け入れられている米国に販売している。

クーシャーによると、ウクライナの人々は自国にある工場が世界最大の人工ダイヤを生産していることを知らなかった。クーシャーがウクライナで人工ダイヤを売り出し始めたとき、消費者はそれを「本物」とは見なさず鼻であしらった。

ウクライナで人工ダイヤがもっと受け入れられるよう、クーシャーはミニマルで現代的な美的感覚を取り入れたジュエリーブランドを立ち上げ、従来のダイヤに欠けている入手のしやすさと現代的な要素を取り入れた。「ウクライナ人への愛情からジュエリーを作った」とクーシャー。従来の採掘ダイヤに比べて人工ダイヤは倫理的な問題をともなわず、持続可能であることを誇らしげに強調する。

ジュエリーデザイナーは、多様な方法で人工ダイヤを用いることができるが、クーシャーは自身が手がけるデザインを一味違うものにしたかった。ソロは金の代わりに透明な植物ベースの樹脂を使う。「ダイヤは指の上で浮いているように見える」とクーシャー。ソロのデザインの1つは、ジュエラーズ・チョイス・アワードの人工ジュエリーデザイン部門最優秀賞の最終選考に残った。この樹脂は100%有機体で生分解性があり、特許を取得している。

ソロが2023年に催した慈善イベントでは、著名なウクライナ人が人工ダイヤを使用したユニークなジュエリーを披露し、将来の復興活動のための資金を集めた。デザイナーらはウクライナ国旗の色である黄色と青のダイヤを使用した。同プロジェクトの収益の半分は、同国のゼレンスキー大統領が設立したウクライナのための募金活動「UNITED24」に寄付される。ファーストレディのオレーナ・ゼレンスカは国旗カラーのダイヤの指輪を着用している。
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翻訳=溝口慈子

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