第110旅団や、アウジーウカの北方に配置されていた第47独立機械化旅団など、この方面のウクライナ軍部隊が西方のより防御しやすい場所に後退するなか、ロシア軍は数km前進した。
これはロシア軍が過去1年にウクライナで遂げた最大の前進だった。
しかし、ロシア軍がアウジーウカの西方でウクライナ側の新たな防衛線を突破し、防備の手薄な後方、さらには主要な人口集中地へと進撃する見込みは、今月潰えた。第47旅団をはじめとするウクライナ軍部隊が再び向きを変え、ロシア側に反撃し、いくつかの場所では逆襲さえしたからだ。
もっとも、ウクライナ側も大きな損害を出した。OSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストのアンドルー・パーペチュアが確認したところでは、第47旅団はM1エイブラムス戦車(重量69t、乗員4人)3両、M2ブラッドレー歩兵戦闘車(重量34t、乗員3人・収容可能な歩兵7人)少なくとも4両、アサルト・ブリーチャー工兵車両2両(重量65t、乗員2人)2両など、保有する装甲車両の10%近くを失った。第47旅団はこれら米国製装甲車両の運用で中心を担っている部隊だ。
それでも、アウジーウカの北西8kmほどにある村ベルディチ方面で抵抗する第47旅団は、被った損害よりもはるかに多くの損害をロシア側に与えた。ベルディチに向かう道路には、ロシア軍の戦車や歩兵戦闘車、BTR-80などの装甲兵員輸送車の残骸が散乱している。ロシア軍の歩兵の遺体が大量に散らばっているのはいうまでもない。その数は数百体にのぼるかもしれない。
それ以上に重要なのは、第47旅団やその南で戦う近傍の旅団などウクライナ側が、ロシア軍の第2諸兵科連合軍と第41諸兵科連合の進撃を食い止めたことだ。
アウジーウカを陥落させたロシア軍は続く2週間、勢いを駆って西進し、ステポベ、ラストチキネ、セベルネといった村や集落を制圧した。しかし、それはウクライナ側がこれらの村落を守る選択をせず、さらに西のベルディチやオルリウカ、トネニケといった村に向かうことにした結果だった。
これらの村は後方に池などの水域があるため、回り込んで攻撃するのが難しく、防御は比較的しやすい。
ウクライナのシンクタンクである防衛戦略センター(CDS)は、アウジーウカ方面では3月第2週「第47独立機械化旅団がベルディチの防衛に成功し、敵の第15、第30両独立自動車化狙撃旅団の攻撃を撃退した」と報告している。さらに次のように戦況を評価している。