従来の実店舗型の小売企業は財務報告書で、売上につながる可能性がある、オンラインとオフラインの顧客とのやり取りのさまざまな組み合わせがあることをつまびらかにしていない。だが、eコマースの小売市場シェアが横ばいになっているのは購買習慣の変化というよりも、客や従来の小売マーケティング担当者が洗練されつつあることを反映している可能性が高い。
例えばオムニチャネルには、店舗での購入につながるオンラインでのリサーチも含まれる。人工知能(AI)による価格の最適化などのサービスをEC事業者に提供する米コンサルのフィードバイザーは毎年アマゾンの消費者行動に関するレポートを発表しているが、その中でオンラインで購入する人の56%は、アマゾンに掲載されている商品をチェックすることから買い物を始め、特にレビューに注目していると指摘した。
ウォルマートのような企業は、店内にいる買い物客が価格をチェックしたり、商品がある列を確認したりできるスマホアプリを展開している。アプリの利用で生じた売上は、eコマース取引として分類されない。オンライン購入の商品を店舗で返品すると、付随的な売上が発生し、eコマースとして分類されないことがある。クリック・アンド・コレクトという、オンラインで注文し、店舗駐車場で商品をピックアップする成長中のチャネルもある。
国勢調査局の統計がeコマースの成長の鈍化を示唆しているのは、実際に起きていること、そしてさまざまな方法によるeコマースと店舗の小売の融合を反映できていないだけなのかもしれない。
このことは、在庫をどのように計画・管理する必要があるか、価格をどのようにコントロールするか、行動が変わりやすい顧客と、顧客が期待する体験のために商品をどのように開発するかといった、さらなる問題を提起している。
確かに、各小売業者の顧客層の行動はそれぞれ異なるようだ。さらに、顧客の期待は、小売業者やブランド、販売チャネル(オンラインと店舗など)によっても違う。顧客の行動そのものに幅があることを考えると複雑な問題だ。まずは、顧客が今どこにいるのかをしっかりと理解し、どこに行こうとしているのかを予測することから始めると良さそうだ。
(forbes.com 原文)