「衝動買い」を抑制する3つのヒント 心理学者が伝授

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いつものように買い物メモを持って店に入ったのに、買うつもりのなかった物でいっぱいのカートを押して店を出たことは? そうした経験があるのは、あなただけではない。

衝動買いは一般的な習性だ。ある研究によると、衝動買いとは計画外の購入すべてを指すわけではなく、ある商品を所有したい切迫した欲求に動かされ、多くの場合には後悔してしまうことを特徴とする。

以下に、人が衝動買いの誘惑に耐えられない3つの理由を示す。

1. 広告の力

衝動買いの誘惑は、マーケティングと広告が持つ説得力によることが多い。研究によると、私たちは購入決定の自主性を持っているものの、広告に用いられる入念に練られたメッセージや視覚的な美しさ、人の心をつかむ音楽や、論理的・感情的な訴求は、人の心に響き、喜び、郷愁、そして掘り出し物を見つけたという感覚を喚起することで、購入者に願望とニーズを思い出させ、製品やサービスに対する切なる欲求を生む。

こうした広告に誘発された衝動は、合理的な意思決定を覆し、予定外の購入を促す。即時に満足感が得られるという見通しは、広告に描かれたメリットと相まって切迫感と興奮感を生み出し、購入者をより衝動にかられやすくする。

広告の多くが、機会を逃すことへの心理的恐怖にもつけ込む。購入者はチャンスが束の間であると感じると、大特価や一生に一度の機会を失うことを避けようと、衝動的に振る舞う。

2. 購入者の心理状態

研究によると、衝動買いは通常、感情に動かされるものであり、購入による結果を評価する認知能力が損なわれているという自己制御レベルの低さを示している。その商品を買うことによって即座に得られる報酬と長期的な悪影響の間にジレンマが生じる。

さらに、2021年の研究は、ストレスと社会的孤立のレベルの高まりと、余暇の時間の増加が相まって、不健全な購買傾向が生まれることを示している。生活満足度や自己肯定感が低く、不安や退屈、気分の落ち込み、物質主義・快楽主義的な傾向が高いといった心理的要因も、衝動的な購入につながる。

買い物は、悲しみを和らげ自己統制感を取り戻すための対処メカニズムとしてしばしば利用されるという研究もある。衝動買いの根源は、個人の心の状態と自身の生活に対する認識の中にあるようだ。
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翻訳=高橋信夫・編集=遠藤宗生

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