宇宙

2024.02.11 13:00

太陽系最大の山「火星のオリンポス山」、かつて火山島だった?

太陽系最大の火山、オリンポス山。欧州宇宙機関(ESA)の火星探査機マーズ・エクスプレスが撮影した画像をもとに作成(ESA/DLR/FU Berlin/Mars Express/Andrea Luck CC BY-SA 3.0 IGO)

太陽系最大の火山、オリンポス山。欧州宇宙機関(ESA)の火星探査機マーズ・エクスプレスが撮影した画像をもとに作成(ESA/DLR/FU Berlin/Mars Express/Andrea Luck CC BY-SA 3.0 IGO)

火星の火山であるオリンポス山は、地球にある活火山島と形態的な類似性がある。これは、かつて火星北部の低地が広大な海で覆われていた時代に、オリンポス山が形成されたことを示唆している。

面積が米アリゾナ州とほぼ同じで、高さがエベレストの3倍に達するオリンポス山は、火星の北半球にあるタルシス高地に位置する、太陽系で最大の山だ。地球最大のマウナロア火山の約100倍の大きさを持つこの火山は、火星のマントル中の高温岩体の定常的な流れによって地殻の一部が融解して形成された可能性が高い。火星は小型すぎて活動的なプレートテクトニクスが存在しないため、オリンポス山は数百万~何十億年の間、ホットスポットと呼ばれるマグマの吹き出し口の上に留まり続けた。ホットスポットからは常に溶岩が供給されたため、これほど巨大化することができた。オリンポス山の火山活動の年代については、これまでの研究で38億年前から1000万年未満前までと報告されており、今もまだ活火山だと考えている研究者もいる。

オリンポス山の裾野を囲んでいる高さ6kmにおよぶ急斜面は、1970年代初めに米航空宇宙局(NASA)の火星探査機マリナー9号が初めてこの火山の画像を撮影して以来、人々の関心を集めてきた。急斜面の成因に関しては、太古の氷河、大規模な地滑り、風による浸食作用などによって、火山活動が停止した後に山の形状が変化したとする説が提唱されていた。だが、この分野の最新研究では、裾野の急斜面は溶岩が液体水に流れ込むことで形成されたもので、オリンポス山は活火山島だったとの結論が導かれている。

この研究をまとめた論文の執筆者らは、オリンポス山上空の軌道から、NASA火星周回探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーに搭載されたレーザー高度計MOLAで収集した地形データと衛星画像を、地球の活火山島で行った現地調査のデータと比較した。現地調査はポルトガル領アゾレス諸島のピコ島、アフリカ北西沖カーボベルデのフォゴ島、米ハワイ島の3カ所で実施した。

急斜面は、複数の傾斜した層と岩塊で形成されており、より形成年代の若い溶岩流によって部分的に埋もれていることが、三次元画像で明らかになった。ハワイ島のマウナロア火山のニノル丘陵にも、似たような地形がある。この丘陵は、近くのプナルウ・ビーチ・パークの上にそびえる、頂上が平坦な複数の隆起部が集まっている。この地形は、玄武岩質溶岩の海への流入が連続的に起こることで形成される。
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翻訳=河原稔

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