欧州

2024.02.11 09:30

橋頭堡のウクライナ部隊がドローンで国旗掲揚 危険極まりない戦場で抗戦続ける

ウクライナ軍の南部作戦コマンド(統合司令部)が、クリンキで陣地を拡大し、強固にしつつあるというのは驚くべきことだ。一方、東部作戦コマンドは、アウジーイウカがロシア側に包囲されるのを避けるため、守備隊の主力である第110独立機械化旅団に撤退を命じようとしているのかもしれない。昨年10月にアウジーイウカ方面の攻撃を開始し、多大な犠牲を出しながらじわじわと前進してきたロシアの野戦軍は、アウジーイウカ市内に侵入するようになっている。

いずれにせよ、両コマンドは、一部の大隊では通常200人いるはずの歩兵が40人まで減っているにもかかわらず、戦闘を継続している。これもまた驚くべきことだ。しかも、各旅団は弾薬もどんどん減るという逆境にありながらなお戦い続けている。

弾薬の枯渇は回避できる危機だった。以前はウクライナにとって最も信頼できる支援国のひとつだった米国は、ロシア寄りの共和党議員らが610億ドル(約9兆1000億円)規模の新たな対ウクライナ支援予算案の採決を拒んだために、昨年末にウクライナへの弾薬の供給を停止した。

兵員不足も弾薬枯渇と同じくらいウクライナの戦争努力にとって深刻な問題だが、こちらはもう少し複雑だ。ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトは「ウクライナがロシア軍に大きな人的損失を与えているのは確かだが、両国の人口動態面の格差に留意する必要がある」と指摘する

ロシアの人口は1億4300万人。対するウクライナは4400万人。だが、実際の格差はこれらの数字から想像される以上に悪い。まず、ウクライナでは現在、動員できる最低年齢は27歳だが、ロシアでは18歳から動員できるという違いがある。

さらに「2014〜21年に多くの人がウクライナを離れ、(ロシアによる全面)侵攻時点で国外に住んでいたことが問題を悪化させている」とフロンテリジェンス・インサイトは説明している。「そのうえ2022年の侵攻後、数百万人が出国した」

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、徴兵対象者を拡大するために動員法の改正を検討している。これは不人気な措置になるかもしれない。だが、ウクライナ軍が今後、ドローンによって小さな集落の一角の解放を宣言する以上のことをしていくには必要な措置でもあるだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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