欧州

2024.02.09

アウジーイウカ陥落は「時間の問題」 分析グループ、バフムートの轍踏むなと警告

破壊し尽くされたウクライナ東部の都市バフムート(Shutterstock.com)

ロシアによる最初のウクライナ侵攻以来、ウクライナ軍は10年にわたってアウジーイウカで持ちこたえてきた。アウジーイウカは、現在はロシアの占領下にある州都ドネツク市から北西へ8kmほどに位置し、ロシアによるウクライナ全面侵攻前には3万人あまりが暮らしていた都市だ。

だが、ウクライナ軍の守備隊は撤退すべき時が来たのかもしれない。ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトは最新のリポートで、アウジーイウカは「陥落するかどうかではなく、いつ陥落するかの問題」になりつつあると評価している。

廃墟と化しているアウジーイウカに民間人はごく少数しか残っておらず、その人たちやペットも救助隊が市外に避難させる作業を進めている。だからといって、ウクライナ側はロシアによる2022年2月の全面侵攻後、23カ月にわたりアウジーイウカを守備してきた第110独立機械化旅団を撤収させても、失うものがないということではない。

まず、ロシア側がアウジーイウカを攻め落とす、あるいはウクライナ側がアウジーイウカを守り抜くことには、プロパガンダ上の価値がある。ロシア側がアウジーイウカを取れば、来月に予定される見せかけの選挙での再選を前に、ウラジーミル・プーチン大統領は戦果として誇れるに違いない。

それだけではない。アウジーイウカには軍事上の価値もある。この戦争に関するロシアの主要な目的の1つは、アウジーイウカやドネツク市があるウクライナ東部ドネツク州の全域を支配し、ウクライナ側による州の解放を恒久的に阻むことにある。だからロシア軍はアウジーイウカのような州内の抵抗拠点を除去し、陣地や兵站を固めようとしているのだ。

ウクライナ側はアウジーイウカを保持することで、ドネツク州内を走る鉄道路線を脅かし、ロシア側にウクライナ東部各地への人員や装備の輸送で、効率の悪い別の手段の使用を強いることが可能だった。

だが、2000人規模だった第110旅団の生き残った兵士がアウジーイウカを離れ、数km西にある強化された陣地に退却すれば、ウクライナ側がドネツク州を貫くロシア軍の補給線を脅かし続けるのは格段に難しくなる。そしてこれは、ロシア側がウクライナ東部の占領を固めることにつながる。

それでも、時が訪れたのかもしれない。第110旅団は4カ月にわたって、休むことなく勇敢に戦い続け、4万人の兵士を投入したロシア軍に1m前進するごとに大量の血を流せてきた。増援に駆けつけた第47独立機械化旅団と第53独立機械化旅団が支援し、ドローン(無人機)や地雷、大砲、さらに第47旅団の場合はM2ブラッドレー歩兵戦闘車の傑出した働きで市の南北両翼を防衛してきた。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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