同月、ロシアのニュースメディアはランセットの製造を手がけるザラ・アエログループの映像を放映した。行動が大げさな最高経営責任者(CEO)のアレクサンドル・ザハロフが、ショッピングモールを改造した巨大な新しい生産施設を電動立ち乗り二輪車のセグウェイに乗って見て回っている。映像には何百機ものランセットが置かれている棚が映っていた。ある記事は、生産は50倍に増える可能性があると指摘していた。これはウクライナにとって悪いニュースのように思われた。だが、ランセットによる攻撃は急増するどころか、著しく減少した。何が起こったのか、当初は手がかりがなかった。
ウクライナのOSINT(オープンソース・インテリジェンス)グループでロシアでの破壊工作を調査しているMolfarの情報によると、原因はウクライナ軍による標的を絞った攻撃だった可能性がある。
ザゴルスク光学機械工場の爆発
ロシア国営タス通信は昨年8月9日、同国モスクワ近郊のセルギエフポサドにあるザゴルスク光学機械工場(別名ZOMZ)で大規模な爆発が発生したと報じた。報道によると、同工場は法執行機関や産業、医療向けの光学およびオプトエレクトロニクスの装置を製造しているという。1935年創業の同社は国内では高品質の双眼鏡やオペラグラスでよく知られている。同工場のウェブサイトによると、眼科で使う医療機器やエックス線装置も製造しているという。爆発の被害はかなりのものだった。30人が病院に搬送され、爆心に近い建物4棟が大きく損壊し、広範囲にわたって窓ガラスが吹き飛んだ。近接する大学の一部や学校2校、スポーツ施設、商店のほか、アパート38戸と自動車4台にも被害が及んだ。