欧州

2024.02.08

ロシアの凶悪ドローン生産、ウクライナの攻撃で停滞した可能性

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小型の自爆ドローン(無人機)の「ランセット」は、ロシアがウクライナとの戦争で用いている武器で最も有効なものの1つだ。約64km先の標的を恐ろしいほどの精度で見つけ出して破壊することができる。ランセットは戦車レオパルトや大砲、さらには駐機中の航空機さえも破壊する。ウクライナ軍のヴァレリー・ザルジニー総司令官は、現在の戦況に関する最近の論文の中でランセットを問題視している。最初は月に数十機の出現だったが、昨年7月には急増し始める見込みだった。しかしそうはならず、何らかの事情で供給は中断された。

同月、ロシアのニュースメディアはランセットの製造を手がけるザラ・アエログループの映像を放映した。行動が大げさな最高経営責任者(CEO)のアレクサンドル・ザハロフが、ショッピングモールを改造した巨大な新しい生産施設を電動立ち乗り二輪車のセグウェイに乗って見て回っている。映像には何百機ものランセットが置かれている棚が映っていた。ある記事は、生産は50倍に増える可能性があると指摘していた。これはウクライナにとって悪いニュースのように思われた。だが、ランセットによる攻撃は急増するどころか、著しく減少した。何が起こったのか、当初は手がかりがなかった。

ウクライナのOSINT(オープンソース・インテリジェンス)グループでロシアでの破壊工作を調査しているMolfarの情報によると、原因はウクライナ軍による標的を絞った攻撃だった可能性がある。

ザゴルスク光学機械工場の爆発

ロシア国営タス通信は昨年8月9日、同国モスクワ近郊のセルギエフポサドにあるザゴルスク光学機械工場(別名ZOMZ)で大規模な爆発が発生したと報じた。報道によると、同工場は法執行機関や産業、医療向けの光学およびオプトエレクトロニクスの装置を製造しているという。1935年創業の同社は国内では高品質の双眼鏡やオペラグラスでよく知られている。同工場のウェブサイトによると、眼科で使う医療機器やエックス線装置も製造しているという。

爆発の被害はかなりのものだった。30人が病院に搬送され、爆心に近い建物4棟が大きく損壊し、広範囲にわたって窓ガラスが吹き飛んだ。近接する大学の一部や学校2校、スポーツ施設、商店のほか、アパート38戸と自動車4台にも被害が及んだ。
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翻訳=溝口慈子

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