自分が責任者になるべきだというわけでもない。枠組みの中でこそ自分をきちんとコントロールできる人もいれば、自由がないと才能が発揮できない人もいる。日本人の性格、世代間の価値観の違いもあるなかで、自社にとって最適なバランスとは何か、どこまで社員が自律的であるべきなのか。人材不足が深刻化するなかで、従業員の会社依存度がどれ位であれば健康的であるかを考えるきっかけになる問いではないかと思う。
「社員のキャリアやモチベーションに責任を持っているのは誰か?」という問いでも同じような傾向が出ている。日本では35%の人が「モチベーションの責任者は会社である」と答え(世界平均は20%)、65%の人が「キャリア発展の責任者は会社である」と答えている(同37%)。どの数字をとっても、会社依存度が世界に比べると高い状態なのである。
成長に関する意識の違いは?
キャリアに対するアグレッシブさに比例して、会社からのサポートが行われているという数字も出ている。「会社が今後のキャリアのための自己開発をサポートしてくれている」と答えた人は世界では52%に上った。日本は36%に留まっている。もう少し極端な問いで、「もし学びの機会がなければ会社を辞めようと思うか」という問いに対しては日本は14%、世界では倍の29%が「はい」と回答している。成長意識は、キャリア観、モチベーションに強く紐づいている。社員の積極性と会社のサポートは相互依存関係にあるし、それがその国のカルチャーとも紐づいている。そしてそれは1年1年変わっていく。その変化の兆しをとらえ、徐々に変革を行っていくことも重要だが、時代のニーズをより主体的に経営や人事制度、カルチャー作りに活かし、変化を作り出していける存在になるかが組織やリーダーに求められている。